2018 Fiscal Year Research-status Report
On Structures and Properties of Edge-Colored Graphs and Digraphs
Project/Area Number |
18K03402
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
善本 潔 日本大学, 理工学部, 教授 (90307801)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 辺着色グラフ / 多部トーナメント / サイクル / 最小色次数 / 有向グラフ |
Outline of Annual Research Achievements |
Gをグラフとし、Nを自然数全体に対して、写像c:E(G)->NをGの辺着色といい、それらの対(G,c)を辺着色されたグラフという.グラフの点xに接続する辺の色の数をその点の次数と呼びd^c(x)と書き、その最小数min{d^c(x) : x in V(G)}を最小色次数と呼び、δ^cと書くこととする.Gの部分グラフHのすべての辺の色が互いに異なる時、Hをrainbowと呼び、隣接する辺の対がすべて異なる時、Proper colored(以降PCと略する)と呼ぶ. 本研究では、(G,c)がrainbowな長さ4のサイクル(以降C_4と書く)を含むことを強制する色次数の下限を求めよというLi教授(パリ大)の問題の解決を目的としている.初年度である本年度は、対象となるグラフを完全グラフK_nや完全2部グラフK_n,mに制限して研究を行なった. 特に、PC C_4を含まない辺着色された完全2部グラフK_n,mの研究を行い、その構造を完全に決定した.すなわち、「(K_n,m,c)がPC C_4を含まないならば、適当な点着色写像(以降向き付けと呼ぶ)c^*:V(G)->Nが存在し、任意の辺uvに対して、c(uv)はc(u)またはc(v)である」ことを我々は得た(以下c^*を双対写像と呼ぶ).向きづけられた完全2部グラフを2部トーナメントと呼ぶ.我々が得たPC C_4を含まないK_n,mの構造から、2部トーナメントを構成することができることがわかった.我々が得た構造定理を利用して、Bermond-Thomassen予想の辺着色(K_n,m,c)への一般化を可能にした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の研究目的、方法では、Liの問題を解決するために、以下の制限を与えて研究を進める予定であった。(R1) Gを完全グラフや完全2部グラフに制限する、(R2) rainbow C_4をPC C_4に緩める、(R3) Gの各点に接続する同色な辺の数に上限を与える.本年度は、「研究実績の概要」で述べた通り、PC C_4を持たない完全2部グラフの構造を完全に決定した.さらに、この構造から2部トーナメントBTが一対一で対応することがわかった。従って2部トーナメントの構造を利用することができる。特に、BTの最小で次数がf(k)以上であるための必要十分条件は、K_n,mの各点に接続するすべての色に対して同色の辺の数の上限がn-f(k)であることがわかる.ゆえに、有名な未解決問題Bermond-Thomassen予想、すなわち「有向グラフDの出次数が2k-1以上ならば、k個の互いに点素なサイクルが存在する」の辺着色グラフへの一般化が可能になる。 K_n,mに対応する2部トーナメントをDとする.K_n,mのサイクルの存在を有向グラフの言葉に言い換えるためには、Dから辺を取り除いて準2部トーナメントを構成しなければならない。従って、これまでよく研究されている2部トーナメントの主張を準2部トーナメントの主張に一般化しなければならない。本年度の研究により、最小出次数が2k-1以上な準2部グラフが有向C_4を持つことを示した。このことによって、Bermond-Thomassen予想の辺着色完全2部グラフへの一般化した予想を解決することに成功した。
|
Strategy for Future Research Activity |
辺着色された完全2部グラフの構造の問題は解決したので、次に辺着色された完全グラフ(K_n,c)の構造を解明する.すなわち、PC C_4またはその条件を弱めたPC偶サイクル(長さが偶数のサイクル)を持たない(K_n,c)の構造を決定する. 問題点は、完全2部グラフの場合と同様に、その構造は本質的に有向グラフに置き換えることができるのか、できるのならば、どのような有向グラフであるのか。逆にできないのであるなら、有向グラフに置き換えることができない(K_n,c)の構造を決定できるか、を解決する。 本年度の研究により、任意の色数に対するPC C_4を持たない(K_n,m,c)のグラフを構成することに成功した。それは当然有向グラフに置き換えることができる。興味深いのは、点数や色数を無限に大きくしても構成できるが、対応する有向グラフは強連結でなくなることである。これは一般的に言える性質なのか、それとも我々が構成したグラフが特殊荷物性質なのかを解明する。 特に有向グラフの強連結性は、グラフの連結性と同様に重要な概念である。では強連結性を辺着色されたグラフの性質に一般化することができるだろうか。もし可能ならば、有向グラフの強連結性が持つ構造や性質のうち、どの構造や性質が辺着色されたグラフに一般化できるか、解決する。特に、(K_n,c)が双対写像c^*を持つ場合、多部トーナメントと一対一で対応することが知られている。また多部トーナメントはこれまで非常に多くの研究が行われてきた。それらによって解明した構造や性質のうち、(K_n,c)の構造や性質に一般化できるものを明らかにする。
|
Causes of Carryover |
海外からの招聘者の滞在日程が予定していた1ヶ月から2週間に変更になったため次年度使用額が生じた。これについては次年度の招聘者の滞在費に使用する。
|
Research Products
(5 results)