2020 Fiscal Year Research-status Report
On Structures and Properties of Edge-Colored Graphs and Digraphs
Project/Area Number |
18K03402
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
善本 潔 日本大学, 理工学部, 教授 (90307801)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 辺着色グラフ / ハミルトンサイクル / 2因子 / 偶全域木 / 正則グラフ / 非2部性 |
Outline of Annual Research Achievements |
辺着色グラフの構造や性質を考えるとき,元のグラフの構造や性質が大きな影響を与える.特にハミルトンパスのように特殊な全域木の存在はグラフの性質に大きな影響を与えることが知られている.木Tで,Tの任意の端点間の距離が偶数であるものを偶(even)であると言う.特に,偶である全域木を偶全域木(even spanning tree)と呼ぶ.ロンドン大学クィーンメアリー校のBill Jackson教授と,r正則連結グラフGの偶全域木の存在について研究を行った.r正則グラフとはすべての点の次数がrであるようなグラフで,その構造についてはサイクル構造やハミルトン性についてを含め,これまで多くの研究がなされている.Gが2部グラフのとき偶全域木を持たないグラフを構成できることから,我々は「Gが正則連結かつ2部グラフでない(非2部)なら偶全域木を持つ(予想1)」と予想した.更に正則性も必要な条件であることを示す例を構成した.その例は2連結であるが,我々は3連結以上の場合も反例が構成できると予想している. Gをr正則非2部連結グラフとする.r=2のとき,非2部性から位数は奇数であることがわかるので,Gから任意の辺を取り除いた全域木が偶全域木になる.このことを一般化することによって,Gがハミルトンサイクルを保つ場合を解決することが出来る.ハミルトンサイクルは2因子の特別な場合なので,我々はGが2因子を保つ場合に取り組み,「r正則非2部連結グラフGが適当な偶木(even tree)Tで,G-V(T)が2因子を持つならば,Gは偶全域木を持つ」ことを示した.更に,r正則非2部連結グラフGが2因子を持つならば,Gには適当な偶木Tが存在し,G-V(T)が2因子を持つことを示すことにより,「r正則非2部連結グラフGが2因子を持つならば,Gは偶全域木を持つ」ことを示すことに成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
辺着色グラフの構造や性質を解明するために,元のグラフの構造について新たな発見を得られた.具体的には,r正則非2部連結グラフGが偶全域木をもつという予想1に対して,Gが2因子を保つ場合を解決することに成功した. また辺彩色グラフの構造について研究が進展した.辺着色グラフのすべての辺の色が異なるときレインボーであるという.辺着色グラフGの任意の2点x,yに対して,x,yを結ぶレインボーパスが存在するとき,Gはレインボー連結であるという.DoanとSchiermeyerは,Gの最小次数条件とレインボー連結性の関係について研究し,最小次数が(|V(G)|+2)/3以上ならば,レインボー連結であることを示した.本研究者は,大学院生と研究し,この結果をOre型に一般化することに成功した.すなわち,「Gを位数9以上の辺彩色グラフとする.Gの任意の3点からなる独立点集合{x,y,z}に対して,その次数和が|V(G)|+3以上ならば,レインボー連結である」ことを証明することに成功した.よって,当初の計画以上に進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
予想1はr正則非2部連結グラフGが2因子を持つときを解決したので,残る未解決問題は,Gが2因子を持たないときである.Gが2因子を持たないとき,著名なPetersenの定理より,rが奇数であることがわかる.さらにBablerが「rが奇数かつ橋(bridge)を持たないとき,2因子を持つ」ことを示したので,以下の予想を解決すれば,予想1が完全に解決することになる.「Gをr正則非2部連結グラフとする.rが奇数かつGが橋を持つとき,Gには偶木Tが存在し,G-V(T)は2因子を持つ(予想2)」今後は,この予想の解決を目指す. Mをr正則非2部連結グラフGの橋全体からなる集合とする.GからMの辺全体を取り除いたグラフG-Mの各連結成分Hは2辺連結または1点からなる完全グラフ(K_1)である.Hの最大次数はr以下,最小次数はr未満になる.Gが所望の偶全域木Tを持つとすると,TとHによって定まるHの全域木T_Hに対して,その端点x,yの次数がrならば,そのT_Hにおける距離は偶数になる.したがって,予想2が正しければ,次の予想が成り立つことになる.「Gを2辺連結グラフとする.Gの最大次数Δが最小次数より真に大きければ,適当な全域木Tが存在し,Tの任意の次数Δの端点x,yに対して,xとyのTにおける距離は偶数になる(予想3)」今後は,Jackson教授と予想3の解決を目指し,さらに予想2を解決する.
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Causes of Carryover |
コロナのために,予定していた海外研究者の招聘,国際会議の出席,共同研究のための海外出張および国内出張を行えなかったため. 今年度以降,コロナによる問題が解消次第,予定通り海外研究者の招聘,国際会議の出席,共同研究のための海外出張および国内出張を行う予定である.
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Research Products
(1 results)