2019 Fiscal Year Research-status Report
個体群動態モデルに現れる界面ダイナミクスの数理解析・数値解析
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18K03412
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| Research Institution | Kanazawa University |
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Principal Investigator |
中村 健一 金沢大学, 数物科学系, 准教授 (40293120)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢崎 成俊 明治大学, 理工学部, 専任教授 (00323874)
中村 俊子 (荻原俊子) 城西大学, 理学部, 教授 (70316678)
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| Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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| Keywords | 個体群動態 / 界面ダイナミクス / 進行波 / 移動境界問題 / 順序保存力学系 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
生物種の個体群動態モデルに現れる，各種が優勢的に支配する生息域の境目としての界面や自由境界の生成・消滅およびその時空間ダイナミクスを理解するために，研究分担者と共同で数理的手法と数値的手法を相補的に用いた研究を行い，次のような具体的成果を得ることができた．
（１）2つの資源をめぐって3種の生物が争う状況を記述する3種競争系において，進行波の速度の符号を決定することは最終的に生き残る生物種を特定するために極めて重要であるが，補助的な比較関数を適切に構成することにより，既存の結果を大きく改良する結果を得ることができた。また，初期時刻における生物種の分布から生息域の形成，進行波への収束という時間大域的な解の挙動を複数の比較関数を組み合わせることで明らかにするとともに，進行波の大域的な漸近安定性を証明することができた．
（２）熱拡散が主導的な界面現象における伝播の固有の反応定数を漸近展開を利用して数値的に評価する方法を提案した．また，実際の問題に適用して誤差があらゆる場合において1～2%の範囲に抑えられるなど，その有用性を確認した。
（３）総個体数や物質量などの積分量が保存される個体動態群モデルや化学反応モデルを保存則が成立する順序保存力学系の枠組みで解析を行い，有界な軌道が平衡点に収束することおよび平衡点の集合が連結な全順序集合であることを示すとともに，元のモデルへの応用を行った．
（４）不可逆的な反応拡散現象を記述する数理モデルに現れる進行波の存在および漸近安定性を明らかにした．
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2種類の資源をめぐって3種の生物が競合関係にある3種競争系については，初年度に得られた速度がゼロでない進行波が存在するための条件を改良し，より広いパラメータ領域において速度の符号を決定することに成功した．この種の結果は3種競争系についてはこれまで知られていなかったものであり，また，進行波の速度の符号を決定することは外来生物種の侵入・定着が可能／不可能であるかどうかを明らかにする重要なファクターであるので，今後の応用へ期待ができる結果である．
個体群動態の数理モデルに関するステファン型自由境界問題の数値計算については，数値的な実験のみでまだスキームの数学的解析に取り掛かったばかりであり，さらなる協同研究を必要とする．
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| Strategy for Future Research Activity |
（１）ステファン型境界条件を課した個体群動態モデルに関する数値的な研究については，引き続き研究分担者の矢崎と協力し、ペナルティ法や変分不等式による定式化などの古典的ステファン問題に対する種々の数値解法を元にプロトタイプ的な数値スキームの改良を試みるとともに，それを移流項を含む場合や時間・空間変数に関して一様でない係数を含む場合の問題に適用する．
（２）生物種が資源をめぐって競合関係にある競争系においては, 研究代表者の中村と研究分担者の荻原が研究協力者と共同で，昨年度に得られた進行波の伝播速度に関する結果を離散モデルへ拡張し，速度のパラメータ依存性を精密化し，特に速度の符号を決定することで，最終的にどの生物種が生き残り, どの生物種が絶滅するかを明らかにする．
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| Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの感染拡大に伴い，予定していた研究分担者および研究協力者との研究打ち合わせ等のための出張旅費が未消化となった．今後の流行状況にもよるが，昨年度までの研究進捗状況を鑑みてできるだけ速やかに研究打ち合わせを行い，研究を計画通り遂行する．
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Research Products
(10 results)
