2021 Fiscal Year Research-status Report
非可積分系に対する厳密解とカオス的集合の実験数学的構成
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18K03418
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
平出 耕一 愛媛大学, 理学部, 研究員 (50181136)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松岡 千博 大阪市立大学, 大学院工学研究科, 教授 (10270266)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 複素多項式写像の力学系 / 漸近展開 / ホモクリニック点集合 / 非線形ストークス現象 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年までの研究に関連し,Fatou予想の多項式写像の場合に,すなわち Smale の第11問題の考察した.すなわち,次の予想についての研究を行った;予想(Fatou-Smale) 複素平面上の任意の多項式写像は同じ次数の双曲型多項式写像により近似できる.研究のアイデアは, Mane-Sad-Sullivanによる正則運動 (holomorphic motion)の概念をもとにした.実の場合は,繰り込み(renormalization) の手法が重要な役割を果たすことが知られているが,この研究では代数幾何の観点から問題を捉え,ホモクリニック類とヘテロクリニック類を利用した.複素の場合,それらは全てジュリア集合に一致し,実の場合,それらは繰り込みによって得られる部分力学系の列に対応しており,大変有効に働くと思われ,問題解決の糸口を掴んだ.研究成果「複素1次元多項式写像に対する正則運動の構成」を,京都大学数理解析研究所の研究集会で口頭発表し,またこの研究成果は,京都大学数理解析研究所発行の講究録から出版されることになっている.
以前からの複素2次元のエノン写像についての共同研究は,自然に導かれる非線型2階差分方程式; x(t+1) - x(t) - b x(t-1) = -a {x(t)}^2 をBorel-Laplace変換の方法による研究結果が、大変シンプルな考え方により同様の結果を導き出すことが出来ることが分かった.これは,高次元システムや微分方程式への本研究の応用の可能性が大変高まったことを意味すると思われる.研究成果「エノン写像に付随する非線形差分方程式の厳密解に対する急収束級数展開」を、九州大学での冬の力学系研究集会で口頭発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
理由 感染症の世界的流行のため、本論文の作成が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
本論文の作成のため、共同研究者との連絡を密にすることが必要だが、全国的なワクチン接種の効果から、それを実行することが可能と見込まれ、研究目標の達成に向けて可能な限り努力する。オンラインでの研究連絡ももちろん行う。
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Causes of Carryover |
研究期間延長のため
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Research Products
(3 results)