2018 Fiscal Year Research-status Report
大標本かつ高次元なデータに対する統計的推測法の理論研究と応用
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18K03419
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
山田 隆行 島根大学, 学術研究院理工学系, 准教授 (60510956)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 多変量解析 / 高次元データ / 統計的推論 / 漸近理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度はまず共分散行列の構造についての検定について、観測項目の数が標本サイズより大きい場合で、母集団分布が正規分布を含むような広い分布族に対しても適用可能なものの開発を行った。具体的に導出したものは, 単位行列との同等性の検定, Sphericity検定, すべての観測項目に対する無相関性の検定に対する検定規準である。以上の検定統計量は, Himeno and Yamada (2014, JMVA)で用いた共分散行列の推定量を拡張したものを利用している。検定統計量の漸近帰無分布を次元数と標本サイズを同時に大きくする漸近枠組みにおいて導出し, 検定規準を導いた。 第2に、2群の判別問題について、次元数が標本サイズの合計を超えない下で、誤差ベクトルが独立に同一の分布に従うような場合に線形判別関数の誤判別確率の漸近近似とその一致推定を、次元数と標本サイズを同時に大きくする漸近枠組みにおいて導出した。このような漸近近似は、誤差ベクトルの各成分が正規分布の場合には多くの研究成果が得られており、とりわけマハラノビス距離が1と同位のオーダーを仮定したもとでえられている。今回のように分布を一般化した場合は、以上の仮定に加えて、2群の平均の差を共分散行列の逆行列の行列平方根をかけてできるベクトルの各成分が0に収束するという仮定を加えた下で導出している。この仮定を弱くすることが今後の課題である。 第3に、本研究に関連するものとしてGMANOVAに関する高次元漸近推論について母集団分布が正規分布を含むような一般の下で得られたため、その成果を現在論文としてまとめている。 1つめと2つめの成果は2018年度統計関連学会連合大会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度の後半に異動があったために研究に注力する時間の確保が難しかった。そのために進捗状況はやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、2018年度に得られた成果を改善したものを論文化できるように努める。適宜共同研究者と相談・討議して研究を進めたい。また、研究実績の概要に書いたGMANOVAに関する高次元漸近推論の研究成果は優先して行う。論文をまとめる作業によって得られた知見などは利用して、本研究課題の解決につなげる。
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Causes of Carryover |
当初と使用状況が異なった点は物品費と旅費である。当初購入を考えていたPCのスペック(CPUやメモリー)に物足りなさを感じ、購入を次年度に変更したため。また、2018年度に異動したために、当初計画していた研究打ち合わせを行うことができなかった。以上が次年度使用額が残った理由である。
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