2019 Fiscal Year Research-status Report
複素数及び実数領域の代数制約式に対する効率的な限量子記号消去アルゴリズムの開発
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18K03426
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
佐藤 洋祐 東京理科大学, 理学部第一部応用数学科, 教授 (50257820)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | CGS / 根の連続性 / パラメーター / Border基底 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、パラメトリックな連立代数方程式の解の簡素な表現の実現とその効率的かつ高速な計算アルゴリズムの実現が重要な課題となっている。 作年度において、われわれはパラメトリックな連立代数方程式の根の連続性についての重要な性質を証明することに成功した。具体的には、連立代数方程式を構成する多項式が生成するイデアルが零次元で、かつイデアルの剰余環がなす線形空間の構造が不変であるような、パラメーターの空間において、連立代数方程式の根がパラメーターの関数として連続であることを証明した。この結果により、パラメトリックな多項式環におけるイデアルによる飽和イデアルの計算をパラメーター空間の必要最小限の分割で行うことが可能になるので、飽和イデアルのシンプルな表現が可能になる。 しかしながら、イデアルの剰余環がなす線形空間の構造が不変であるような、パラメーターの空間の計算をどうやって行うかについての問題が解決されないままであった。 当該年度において、この問題を部分的に解決した。イデアルが根基である場合は、CGS(包括的グレブナー基底)の代わりにパラメトリックなBorder基底を用いることで、パラメーター空間の必要最小限の分割が可能になることを証明した。 本研究において、我々が目的としているCGSの計算をベースとする限量子記号消去アルゴリズムでは、パラメトリックな多項式環におけるイデアルによる飽和イデアルの計算が必要であり、そのできるだけ簡素な表現の実現および効率的かつ高速な計算アルゴリズムの構築が最重要な課題である。パラメトリックなBorder基底を用いることで従来のCGSを用いた算法よりもはるかに簡素で高速な飽和イデアルの計算アルゴリズムが実現できることになる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、効率的な限量子記号消去アルゴリズムをCGSの計算をベースとしたアルゴリズムとして構築できると想定していたが、Border基底に関して、 当該年度にわれわれが得た研究成果によって、より効率的なアルゴリズムが実現可能であることが示された。
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Strategy for Future Research Activity |
複素数領域における効率的な限量子記号消去アルゴリズムの構築、及び等式を多く含むような実数領域における代数制約式に対する効率的な限量子記号消去アル ゴリズムの構築を、当初予定のCGSの計算をベースとしたアルゴリズムを改良して、Border基底を利用するアルゴリズムとして構築していく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスが原因で、参加予定だった研究集会がすべて中止になったため、旅費として予定していた額が使用できなかった。
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