2022 Fiscal Year Research-status Report
A new type of volatility estimator defined by jump diffusion model
Project/Area Number |
18K03431
|
Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
金川 秀也 東京都市大学, 共通教育部, 教授 (50185899)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
滑川 光裕 嘉悦大学, 経営経済学部, 教授 (60289931)
前園 宜彦 中央大学, 理工学部, 教授 (30173701) [Withdrawn]
税所 康正 東京学芸大学, 教育学部, 研究員 (70195973)
細野 泰彦 東京都市大学, 情報工学部, 准教授 (40157029) [Withdrawn]
上江洲 弘明 金沢工業大学, 基礎教育部, 准教授 (60350401)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 日経平均株価指数 / ダウ平均株価指数 / ジャンプ型拡散過程 / 株価ボラティリティ / ヒストリカル・ボラティリティ |
Outline of Annual Research Achievements |
日経225 株価指数における日次収益率のように、ボラティリティが時間の経過とともにランダムに変動するモデルが用いられる時系列解析において、現在でもボラティリティ推定は理論的に困難な問題である。株価の実証分析においてBell and Torous (1983, 1985) はMertonモデルの推定を行い、株価変動におけるジャンプの存在を示した。それ以後、株価データをジャンプ拡散過程によってモデル化してパラメータの推定を行う手法について多くの研究がなされてきた。ジャンプ拡散過程はブラック・ショールズモデルのような連続な経路を持つ拡散過程と、複合ポアソン過程によって表される不連続過程によって構成される。特に振幅の大きなジャンプに注目して、それらを検出することを主目的とする研究として、Kwakernaak (1980)や飯野・尾崎(1999)がある。これらは時系列データの実証分析として優れた研究であるが、このようなフーリエ解析を用いて強引にジャンプ部分と連続部分を分離する従来型の手法では、ジャンプかあるいは連続過程の大きな変動かを区別することを正確に行うことが困難である。 2022年度に台灣国立大学、Narn-Rueih Shieh教授との共同研究によって下記の論文(preprint)を作成した。 「Optimal historical volatility for stock indexes induced from an improved jump diffusion model」 この論文では、30年間にわたってヒストリカル・ボラティリティによって推定し、このボラティリティ推定値を用いて日次収益率を基準化してジャンプ時点の推定を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度に台灣国立大学、Narn-Rueih Shieh教授との共同研究によって下記の論文を作成した。 「Optimal historical volatility for stock indexes induced from an improved jump diffusion model」 この論文では、ヒストリカル・ボラティリティによって日次収益率を基準化することによって、ボラティリティの大きい連続過程とボラティリティが小さい連続過程を同じスケールで表すことが出来るので、ジャンプと思われる大きな変動が観測された場合に、それが真のジャンプか、あるいは連続過程から発生した変動かを区別することが出来ることを実証した。 ここでジャンプであると判断する根拠は、それらのジャンプが複合ポアソン過程から発生しているので、単位時間当たりのジャンプ数がポアソン分布に従うことである。ヒストリカル・ボラティリティによって基準化された後の日次収益率の大きな変動部分だけを取り出し、それらがポアソン分布に従うならば、逆に考えるとヒストリカル・ボラティリティの精度が高く真のボラティリティに近いと考えられる。これが本論文における発想の理論的根拠である。一般的な時系列解析では比較的短い期間でしか提案された数理モデルを実際には適用出来ない。本論文では30年間にわたる極めて長期間の株価データに対して有効な結果が得られることからも、従来のものと大きく異なる優れた研究手法であると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
2022年度に台灣国立大学、Narn-Rueih Shieh教授との共同研究によって書かれた下記の論文 「Optimal historical volatility for stock indexes induced from an improved jump diffusion model」 を、雑誌編集者から投稿するよう依頼を受けている "Advances in Probability Theory and Statistics", to be published in the journal Stats (ISSN 2571-905X) に投稿するために、細部のチェックを行う。上記論文で得られたデータを元に、ボラティリティの時系列モデルを考案し、その実証を行う。株価ボラティリティモデルに、ARCHなどの従来から良く知られた線形時系列モデル以外に、非線形なファジィ理論を用いたモデルを考察する。
|
Causes of Carryover |
コロナ禍の影響で海外で開催される国際会議に参加できなかった。 2023年7月にオーストラリア、ダーウィンで開催せれる国際会議「The 25th International Congress on Modelling and Simulation (MODSIM2023) 」において、「Optimal historical volatility for the Dow-Jones industrial average and its application」という題目の講演を行う。
|
Research Products
(4 results)