2020 Fiscal Year Research-status Report
Innovative research for self-validating numerical method of infinite dimensional problems
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18K03434
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
中尾 充宏 早稲田大学, 理工学術院, その他(招聘研究員) (10136418)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 数値解析 / 精度保証付き数値計算 / 有限要素法の構成的誤差評価 / 計算機援用証明 |
Outline of Annual Research Achievements |
連携研究者および研究協力者との情報交換を緊密に行い恒常的に検討を進めた。本年度得られた主な研究実績は以下の通りである。 (1)非線形放物型方程式の解の爆発時刻を精度保証付きで求める手法の定式化を行い、その実例として藤田型方程式の解に対する爆発時刻を高精度で包み込むことに成功した。これは、現在達成された数値例は、いまだ空間1次元の場合のみであるが、空間多次元の場合も同様の定式化が可能であり、世界に先がけた研究成果といえる。 (2)3 次元定常Navier-Stokes 方程式の解に対する数値的検証について、検証手順の効率化を行い、非凸領域上の実際的問題に適用して、その実用性の向上を図った。 (3)熱方程式の周期解にに対する新しい精度保証方式として、空間方向を有限要素近似し、時間方向をFourier級数近似する計算法を検討し、その構成的事前誤差評価を与え、非線形問題への適用性について検討した。また、従来の時間方向に基本解行列を用いる手法についても新たな事前誤差評価の適用によって効率化が図れることを示した。 (4)楕円型作用素の逆作用素ノルムに対する有限要素近似の収束性について検討し、汎用性のある定式化のもとに、近似逆作用素ノルムの真の逆作用素ノルムへの収束証明を与えた。 (5)非線形楕円型問題に対する有限次元射影とその構成的誤差評価を用いた手法による数値的検証について、行列のSchur補元と類似の概念を導入することによって、新たな定式化を与え、それが実用上でも従来の方式に比べて高い有効性をもつことを立証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
非線形発展方程式が有限時刻において爆発する解をもつことに関しては、理論的には多くの研究結果が知られているが、本研究によって精度保証付き数値計算にもとづく計算機援用証明を適用することによって、解が爆発する事実とその爆発時刻を厳密に立証できたことは、これまでにない意義ある研究成果である。これは、従来から知られたエネルギー汎関数の数値評価と、解の爆発が予想される非線形方程式の解をできるだけ爆発に近い時刻まで精度保証付きで包み込むことによって達成できるものであり、両者の融合研究の成果であるといえる。 このほか、3次元非凸領域におけるNavier-Stokes方程式の解の検証、楕円型問題に対する新たな検証定式化や熱方程式の近似に対しても、予定通りの進捗を見ており、これらの結果は、本研究課題が当初の計画通り順調に進展していることを示すものである。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでと同様に、連携研究者および研究協力者との緊密な研究連絡のもとに、次の研究課題に対して恒常的に検討を進める予定である。 (1)非線形発展方程式の爆発解に対する数値的検証方式の高度化を図る。特に藤田型方程式に対し、従来理論的解明が困難であった爆発の条件を、精度保証付き数値計算によって数学的に厳密な計算機援用証明により実現し、その有効性・実用性の向上を目ざす。 (2)周期解を持つ熱方程式について、空間有限要素、時間スペクトルによる近似解に対する新たな構成的誤差評価法を与え、その非線形問題への応用を試みる。 (3)3 次元Navier-Stokes 方程式の解に対する数値的検証手順の効率化を図り、高Reynolds領域にも適用可能な手法の構築を目ざす。 (4)楕円型方程式を対象とした無限次元Newton法の効率的実現法を検討するために、特に精度保証付き数値計算にもとづく線形化逆作用素評価の効率化を図る。 (5)無限次元問題に対する全解探索の手法を定式化し、解の非存在に対する数値的アプローチを実現する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の拡大にともない、国内外の研究集会の多くがオンライン開催となり、旅費の使用額が大幅に減少したことが主な理由である。翌年度はその繰り越し分を主として旅費に使用する予定である。
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Research Products
(12 results)