2018 Fiscal Year Research-status Report
Stochastic chaos in random dynamical systems
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18K03441
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐藤 譲 北海道大学, 電子科学研究所, 准教授 (30342794)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
角 大輝 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (40313324)
矢野 孝次 京都大学, 理学研究科, 准教授 (80467646)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | random dynamical systems / stochastic bifurcation / random strange attractor / stochastic chaos |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではランダム力学系で生じる複雑現象の統一的体系化を軸として、ランダム非線形現象論を一層発展させることを目指す。代表者の先行研究で発見された確率分岐、統計的概周期性、雑音誘起再現性はこれまでに知られていなかった雑音誘起現象であり、さらに新たなランダム非線形現象が発見される可能性が十分にある。ランダム力学系の確率カオスについてはこれまで数学的研究がなされてきたが、非線形物理学としての研究は少ない。例えばランダムストレンジアトラクターの数学的定義は存在するが、その物理的性質は不明である。さらに代表者らの研究によりKarman旋回流でランダムストレンジアトラクターが実測されている。ランダム力学系の複雑現象の物理的な概念化と定量化、数値計算法の提案はそれ自体新しい試みである。今年度は以下の課題(A), (B), (C)を実施し、(C)は論文出版済み、(B)は論文投稿済み、(A)は論文準備中である。2019年3月に研究会Workshop on random dynamical systems and anomalous dynamicsを英国Imperial College Londonでオーガナイズした。 (A)確率カオスの普遍性の分析: Karman旋回流で見出されたランダムストレンジアトラクターを生成する確率Duffing方程式について、分岐解析を行った。ポアンカレ面上でのランダム再帰プロットにより、一次元のランダム力学系モデルを構成して、系の対称性が増すにつれて、複数の異なる相を横断する確率分岐が起きることがわかった。 (B)大自由度多スケール系の時系列解析: 中緯度ジェット気流のデータの埋め込みによりランダム結合写像系を構成して、大域的性質を極値統計を用いて解析した。この系の典型的な集団運動としてのブロッキング現象を再現することに成功した。 (C)確率カオスの予測可能性の定量化: 大規模な力学系の極値統計解析に関するレビュー論文を出版し、結果を(B)の時系列解析に応用した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は以下の課題(A), (B)を実施した。 (A)確率カオスの普遍性の分析: Karman旋回流で見出されたランダムストレンジアトラクターを生成する確率Duffing方程式について、分岐解析を行った。ポアンカレ面上でのランダム再帰プロットにより、一次元のランダム力学系モデルを構成して、系の対称性が増すにつれて、複数の異なる相を横断する確率分岐が起きることがわかった。 (B)大自由度多スケール系の時系列解析: 中緯度ジェット気流のデータの埋め込みによりランダム結合写像系を構成して、大域的性質を極値統計を用いて解析した。この系の典型的な集団運動としてのブロッキング現象を再現することに成功した。 (C)確率カオスの予測可能性の定量化: 大規模な力学系の極値統計解析に関するレビュー論文を出版し、結果を(B)の時系列解析に応用した。 (C)は論文出版済み、(B)は論文投稿済み、(A)は論文準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
課題(A), (B), (C)の今後の推進方策は以下である。 課題(A)確率カオスの普遍性の分析: Karman旋回流の確率分岐についての論文を今年度前半にまとめて投稿する。 課題(B)大自由度多スケール系の時系列解析: 論文の結果を拡張し、二次元の結合ランダム写像系を構成し、ブロッキング現象の解析を行う。 課題(C)確率カオスの予測可能性の定量化: ランダム力学系における生成エントロピーの定義と雑音誘起現象の統計解析への応用を行う。 2019年8月に京都大学RIMSにおいて国際会議Workshop on Theory of Random Dynamical Systems and Fractal Geometryをオーガナイズする。
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Causes of Carryover |
今年度は学生の研究会参加費、旅費使用などに未使用分が生じた。次年度に開催される国際会議でこの未使用分を使用予定である。
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