2020 Fiscal Year Research-status Report
多自由度の協力現象として現れる量子効果とダイナミクスの研究
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18K03444
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮下 精二 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 名誉教授 (10143372)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 貴司 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 客員共同研究員 (00647761)
西野 正理 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 先端材料解析研究拠点, 主幹研究員 (80391217)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 準安定状態 / スピンダイナミクス / 磁化反転 / 双極子相互作用 / 遍歴磁性体 / 量子散逸系 |
Outline of Annual Research Achievements |
多自由度の協力現象として現れる量子効果とダイナミクスの研究に関連して、以下のテーマについて研究を進めた。強磁性状態の準安定状態の微視的過程に関して、自由エネルギーバリアーの評価をWang-Landau法を用いたモンテカルロ法で行い、有限温度での準安定緩和時間の定量的評価をおこない(npj Computational Materials 6,: 67 (1-7) (2020))、また、その問題に対して温度ゆらぎを取り入れたstochastic Landau-Lifshitz-Gilbert方程式を用いた方法で実時間ダイナミクスによる緩和時間の定量的な評価を得ることができた(Phys. Rev. B102,020413(R) (1-5) (2020))。また、交流パルスによる磁化反転制御の微視的方法に関する理論的研究によって、イプシロン鉄の磁気記録機構の開発を行った(Adv. Mater., 2004897 (1-7), (2020))。さらに、磁性体表面での磁気異方性の分布による磁気反転閾値磁場への効果(Phys. Rev. B 103, 014418(1-9) (2021))や、双極子相互作用による多磁区構造を示す系における保磁力(Phys. Rev. B 103, 054421(1-9) (2021))なども明らかにした。また、遍歴磁性体の発現機構に関して長岡強磁性を拡張し、我々がこれまで発見していた有限のドーピング濃度で強磁性が発現するハバード模型での有限温度効果についても研究を進め、反強磁性(Mott状態)、強磁性の状態変化のドーピング濃度依存性を明らかにした。また、散逸のある系でのFloquet状態の固有値分布に関する研究も進め、興味深い準位構造を見いだした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
磁化の準安定性に関するテーマに関して重要な結果が得られ、また関連した分野での成果も上げることができた。さらに、散逸下における量子スピン系の動的特徴や、ハバード模型による遍歴磁性体の機構に関する研究を進めることができた。米国(フロリダ州立大学)、フランス(パリ、グルノーブル)、ドイツ(ユーリッヒ研究所)のグループとの共同研究も進め、その成果についての相互訪問による研究連絡を行う予定であったが、国際交流が困難になったため現在延期中である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に則り、磁化の動的性質、スピン自由度の動的制御に関して研究を進める。特に、スピン集合体が示す準安定性などについての研究を進める。また、量子効果による遍歴強磁性の機構についても研究を進める。特に、有限温度での性質を明らかにして行きたい。また、周期的外場のもとでの散逸環境の効果についても研究をすすめる。関連する理論グループや実験グループと緊密な研究連絡を行いながら研究を進める。 国際交流や物品購入などが交流自粛のため遂行できず保留となっているため、自粛解除になり次第、交流、研究活動を推進する。
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Causes of Carryover |
コロナのため予定していた研究環境整備や研究連絡が実行できなかった。 国際交流や物品購入などが交流自粛のため遂行できず保留となっており、自粛解除になり次第、交流、研究活動を推進する。
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[Journal Article] Magnetic-Pole Flip by Millimeter Wave2020
Author(s)
Shin-ichi Ohkoshi, Marie Yoshikiyo, Kenta Imoto, Kosuke Nakagawa, Asuka Namai, Hiroko Tokoro, Yuji Yahagi, Kyohei Takeuchi, Fangda Jia, Seiji Miyashita, Makoto Nakajima, Hongsong Qiu, Kosaku Kato, Takehiro Yamaoka, Masashi Shirata, Kenji Naoi, Koichi Yagishita, and Hiroaki Doshita
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Journal Title
Adv. Mater.
Volume: 32
Pages: 2004897 (1-7)
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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