2022 Fiscal Year Annual Research Report
Hierarchical and Circular Flow Structures in Directed Networks
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18K03451
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Research Institution | Rissho University |
Principal Investigator |
家富 洋 立正大学, データサイエンス学部, 教授 (20168090)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 有向ネットワーク / 流れ構造 / 階層性 / 循環性 / Helmholtz-Hodge分解 / 蝶ネクタイ構造 / 強連結成分 / サイクル基底 |
Outline of Annual Research Achievements |
ノードとそれらをつなぐ向き付きのリンクから構成されネットワーク上には,様々な流れ構造が存在する。本研究は,そのような有向ネットワーク上の流れ構造を,特に階層性と循環性に注目し,解析に必要な手法を開発するとともに,得られた解析手法をいくつかの応用上も重要な現実の有向ネットワーク系へ適用することを目的とした。
解析手法の開発面においては,ヘルムホルツ・ホッジ分解,コミュニティ抽出,蝶ネクタイ構造分解,バネ電気モデルによる可視化などを組み込んだ統合的解析ツールFALCONを開発し,GitHub上で公開した (https://github.com/ykichikawa/FALCON)。
企業間取引関係(東京商工リサーチ社),貿易収支関係(IMF),産業連関関係(OECD)および株所有関係(Thomson Reuters社)のデータベースから構築される有向ネットワークを具体的な解析対象とした。研究成果として,1) 企業取引流の循環成分に着目すると,より明瞭に産業コミュニティを抽出できること,2) 二国間の貿易は大きく不均衡であっても,貿易収支を多角的な視点で捉えれば (第3国を通じての間接的な貿易関係を考慮),両国は貿易によって互恵関係を持ち得ること,3) 産業連関ネットワークについての国際比較から,階層流構造の共通性は高いものの,主要な循環流には各国の個性が映し出されること, 4) 世界規模の株所有ネットワークにおいて,多くの日本企業が双方向に緩やかにつながる強連結成分(多社間の持ち合い構造)を構築していること(この事実は,国際的に見て日本企業特有のものであり,安定な株所有関係に通じる中長期の視点に立った日本的経営に起因するものと考えられる)などを明らかにした。加えて,本研究で開発した手法をソーシャルネットワークサービス上で形成されるエコーチェンバーの解析に役立てた。
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Research Products
(6 results)