2018 Fiscal Year Research-status Report
スピン軌道相互作用を持つボース・アインシュタイン凝縮体における渦ソリトン
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18K03462
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
坂口 英継 九州大学, 総合理工学研究院, 准教授 (90192591)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | スピン軌道相互作用 / 渦ソリトン / 負の質量 |
Outline of Annual Research Achievements |
Gross-Pitaevskii方程式に現れるソリトンや渦ソリトンの研究がこの研究課題のテーマである。特にスピン軌道相互作用のある系での渦ソリトンに興味を持って研究している。 今年度はスピン軌道相互作用項はあるが分散項をもたない場合を研究した。この系は線形系ではグラフェン中の電子を記述するWeyl方程式と同等な方程式系になる。Weyl方程式のエネルギー分散関係はディラックコーンと呼ばれる交差する線形関係になる。ここに外部磁場によるZeeman項をさらに導入すると、エネルギーギャップが生じる。 非線形項を導入するとこのエネルギーギャップの領域にソリトンや渦ソリトンが存在するようになる。エネルギーギャップにあるソリトンという意味でギャップソリトンとがギャップ渦ソリトンなどと呼ばれる局在状態の1つと考えられる。 1次元系ではそのギャップソリトン解の厳密解が得られた。ギャップソリトン解が安定に存在するパラメータ領域を調べた。2次元ギャップソリトンの厳密解は得られていないが、数値的にはかなり広いパラメータ領域でギャップ渦ソリトンが安定に存在する事を示した。 その他に正と負の有効質量をもつ2つのソリトンが相互作用する系の数値計算を行った。質量の符号が異なる場合にはソリトンの追いかけ運動が生じる。特別な場合にはソリトン間の間隔が時間変化せず、外力がはたらかない系なのに内力だけで等加速度運動する様子が観測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画書に挙げようにワークステーションを購入し、研究テーマのひとつである非線形ワイル方程式のソリトン解の性質を解明することができた。また、正と負の質量をもつソリトンの等加速度運動という興味深い現象を見つけることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度はスピン軌道相互作用と非局所的非線形相互作用を持つ系の研究を行う予定である。ダイポール-ダイポール相互作用を持つボース・アインシュタイン系では相互作用がべき的に減衰する。また、リュードベリ原子系でもダイポール相互作用系とは異なるべき指数で相互作用が非局所的に減衰する。このような非局所相互作用を持つ系のソリトン解や渦ソリトン解を調べる予定である。 また、非線形相互作用の強さが時間的に変動する場合の渦ソリトンの安定性をパラメータをさまざま変えて研究する予定である。
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Research Products
(8 results)