2018 Fiscal Year Research-status Report
Reduction of the degreess of freedom of dynamical systems by machine learning
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18K03469
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
能川 知昭 東邦大学, 医学部, 講師 (00399982)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 機械学習 / 非平衡ダイナミクス / 縮約理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度の主な目的はテーマである機械学習による力学系の自由度縮約を実行するプログラムのプロトタイプを作成し、単純なモデルに適用しつつ必要な改善点などを洗い出すことにあった。学習のモデルとして当初はディープニューラルネットタイプを試していたが、思うような効率が得られなかったため、まずは構造がより単純な高次多項式の線形モデルでプログラムを作成した。実際にプログラムを作成する過程で、事前には想定していなかった、自明で無意味な縮約に陥ることを回避する方法や、選択する自由度にある条件を課すことで学習の計算量をもとの系の自由度に依らなくする方法を考案した。また本課題では2つの関数(を成分に持つベクトル)を同時推定するという変わった教師なし学習を行うが、2つの推定を実装する方法には多くの可能性が考えられ、試行錯誤のもとより良い方法を模索した。 完成したプログラムを1次元の最隣接相互作用モデルに対して適用してその有効性を評価した。数種類の相互作用について調べた結果、残存させる自由度の増加とともに縮約モデルの精度が良くなるという予想していたとおりの結果がおおむね観察された。ところが4乗型の非調和振動子ではたった2つの自由度で極めて高い精度、おそらく厳密に閉じた縮約力学系が得られた。これは、これまで人間の直感や経験に依るところが大きかった、大自由度系から自動的に現象論モデルを推定するという作業を機械学習に代行させることができた一例といえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
課題の申請書を作成するにあたって予備的な考察と情報収集をかなり行っていたため、研究の道筋がある程度明確になっており、プログラムの実装における技術的な困難はいくつかあったが大きなつまづきは起こらなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
現在採用している多項式のモデルでは、非線形性が強い系で高い次数が必要になり、その結果計算量が巨大になってしまうという問題がある。非線形回帰により適した方法を検討してみる価値はある。また、方法を抜本的に変えるか否かにかかわらず、学習の過程もより高速化する方法について、最新の機械学習の成果などを調べて模索する。実用的なプログラムの開発と並行して、より多くの性質が異なる系での応用を蓄積して、方法の根本的な妥当性を検証しなければならない。 また、理論的には難しいが解決すべき課題がある。機械学習によって得られた力学系の変数が唯一の解であるとは考えにくいが、それが最良の解であるのかどうかを考える必要がある。力学系が閉じているかどうかを判定する誤差の大きさが一つの評価基準であるが、誤差の定義にもいくつかのタイプが考え得る。そのような誤差に加えて、例えばモデルの単純さのような他の要素についても検討を行う。
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Causes of Carryover |
初年度は、事前の計画よりもプログラムの開発・改良を重視したために大規模な計算には取り掛からなかった。このため計算機の購入を次年度に延期した。購入を遅らせたほうが同じ金額で買える計算機の性能が上がることも考慮した。 次年度予算の多くを占める助成金使用としては、前半に上述の延期された計算機を購入し、後半には当初計画の次年度計画にあった計算機を購入する予定である。
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