2019 Fiscal Year Research-status Report
Ferroelectric nano-ordering and fractal nature in ferroelectric nanocrystals
Project/Area Number |
18K03476
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
武貞 正樹 北海道大学, 理学研究院, 准教授 (30311434)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 強誘電性ナノ結晶 / 高分解能広帯域光散乱分光実験 / 広帯域スペクトル / 走査型透過電子顕微鏡 / チタン酸鉛 / チタン酸バリウム |
Outline of Annual Research Achievements |
強誘電性ナノ結晶において発現する強誘電ナノ秩序化現象について高分解能広帯域光散乱分光(BBLS)実験、走査型透過電子顕微鏡(STEM)実験を用いて、その発現機構解明を目的とし研究が行われた。BBLS実験ではチタン酸鉛ナノ結晶試料(粒径サイズ6.5 nm, 8 nm, 12 nm)を用いて測定が行われた。前年度はソフトモードが得られた振動数領域(5~ 400cm-1)を測定し、今年度はナノ結晶における強誘電性ナノ秩序形成に特徴的な不安定モードの観測が期待される、さらに低振動数領域0.03cm-1まで測定領域を拡張して広帯域スペクトルを測定した。スペクトルには特有な自己相似性スペクトルとブリルアン散乱領域(<1 cm-1)に減衰調和振動子の感受率で再現されるスペクトル構造を得た。スペクトル構造の物理的起源を明らかにするためスペクトルの波数依存性を測定し広帯域スペクトルの分散関係を調べた。測定されたスペクトル構造は波数の大きさに対して一定で顕著な分散がないことから、ナノ結晶のフォノン構造は局所モード的な特徴を持つことが分かる。またスペクトルのサイズ依存性は粒径の減少に伴って顕著な自己相似性を示す。次にSTEM実験では九州大学工学部佐藤幸生准教授らとの共同研究でチタン酸バリウム強誘電性ナノ結晶のSTEM像の観察に成功した。実験ではこれまでSHG測定で中心対称性の消失を確認しBBLS実験に用いたナノ結晶試料についてSTEM像を測定し室温における強誘電的秩序構造の検証に成功した。(Y. SATO, et al., ACS Appl. NANO MATER. 2, 5761-5768 (2019))また強誘電性ナノ試料の自己相似性スペクトルが示唆するフラクタル構造の存在の有無をSTEM像の結果で検討した。現在のところSTEM像に明確なフラクタル性を示す構造的変調は確認されない。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
強誘電性ナノ結晶についてチタン酸バリウムとチタン酸鉛に関して高分解能広帯域光散乱分光実験を行い、広帯域スペクトルのサイズ依存性、温度依存性、波数ベクトル依存性について本研究課題に必要な実験結果、解析結果が順調に蓄積されている。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画の通り研究を進める。最終年度は測定する粒径サイズの領域を臨界サイズ領域から拡張し、微視的現象から巨視的現象への交差領域まで測定範囲を広げて強誘電性ナノ結晶の強誘電性ナノ秩序化現象の発現機構を解明する。
|
Causes of Carryover |
消耗品の執行が一部次年度に繰り越されたため。
|