2020 Fiscal Year Research-status Report
量子状態の高速高精度制御に向けた量子加速理論とその応用
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18K03486
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
増田 俊平 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 主任研究員 (90546897)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 高速高精度量子制御 / 超伝導デバイス / 量子ビット |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は量子状態の制御の高速化を可能にする事を目的とし、実装可能な応用を提案してゆく。近年超伝導量子ビットなどの素子は量子コンピュータへの応用の観点から盛んに研究されている。量子計算を行うためには外系との相互作用によるデコヒーレンスの影響を低減するために短い時間で正確に状態を制御する事が求められる。近年、量子ビットをデコヒーレンスの影響から守るフィルター(JQF)が提案されたが、量子ビットを純粋な二準位系として解析が行われて来た。我々は量子ビットをより正確に記述するため高準位を考慮にいれて解析を行った。フィルターがある状況下での高速量子ビット制御に最適な制御パルスのパラメータを求めた。結果はNew Journal of Physics, 23, 013006 (2021)に発表された。 高速高精度な2量子ビットゲートは量子コンピュータの実現に必須である。我々はcubic transmonという超伝導量子ビットを使い高速2量子ビットゲートを実証した。この2量子ビットゲートはマイクロを入射することで実現される。数十nsの速さのCZ、iSWAP、SWAPゲートを実証した。結果はPhysical Review A 102, 062408 (2020)に発表された。 近年、超伝導量子パラメトロンの量子ビットとしての応用が期待されている。超伝導量子パラメトロンは振動外場で駆動されるが、非共鳴な振動成分が実際には含まれるため制御の効率が下がる恐れがある。我々は超伝導量子パラメトロンの量子ビットとしての性能を評価するため非共鳴な振動成分の影響を調べるとともに、その影響を大幅に低減する高速パラメトロン量子ビット制御の研究を行った。結果はAPS march meeting 2021で発表された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記に記したように、超伝導デバイスの制御を目的とした研究について予想したとおりの成果が得られている。とくに超伝導量子ビットの制御に関しては順調に進展がみられ、関連した論文を発表することができた。準位間の遷移を含むダイナミクスの高速制御に関しても順調に研究が進んでおり来年度論文を投稿する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
上記のように超伝導量子ビットの準位間遷移を含むダイナミクスの高速制御に関しても順調に結果が得られているので、論文にまとめ発表する予定。国際会議でも成果を発表する。今後理論をさらに発展させ2量子ビットの制御にも応用できるように改良を進める。また実験家と協力し実験に適したパラメータでの解析を進める。
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Causes of Carryover |
コロナの影響により会議参加のための旅費が必要なくなったため。
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