2020 Fiscal Year Annual Research Report
Entangle states for photoelectrons from molecules have time and position dependence or not
Project/Area Number |
18K03488
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
副島 浩一 新潟大学, 自然科学系, 教授 (50283007)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 分子二重スリット実験 / エンタングル状態 / 2次元検出器 / ディレイラインアノード |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は実験方法の抜本的な見直しとしてディレイラインアノード型2次元検出器を利用した光電子角度分解実験の可能性について検討をおこなった。本研究の目的は、電子エンタングル状態の純度を、分子二重スリット実験での光電子角度分布に現れる干渉効果として捉ることである。当初計画では光電子の角度分布を測定するために回転機構を備えた電子エネルギー分析器の使用を予定していたが、磁器シールドの容量が小さすぎてエネルギー分解能が十分得られないことが判明した。そこで、飛行管を回転させる方法の採用を取りやめ、放出光電子の3次元空間分布を2次元に投射して観測する方法へと変更することにした。そのためには光電子の2次元平面上での位置情報が必要となるため、飛行管端に2次元検出器を設置する必要がある。この方法には検出信号データ処理が格段に複雑になる難点があるが、十分なエネルギー分解能が得られることが期待できる。そこで、高エネルギー加速器研究機構放射光施設(PF)および新潟大学にある実験装置資源を活用して、2次元検出器を利用した光電子角度分布測定装置の開発を進めた。コロナ禍で思うようには進展しなかったが、試験的な実験としてHeを対象にした光電離実験をPFのBL-28Aにおいて実施することができた。入射光の偏光状態を、直線、円および偏光面の水平、垂直など変化させ、Heから放出される光電子の角度・エネルギー分解微分断面積を測定し、角度分布が矛盾なく測定できるかの確認とエネルギー分解能の確認をおこなった。現時点ではデータ処理が完全には完了していないが、予備的な処理で得られた光電子角度分布は予想される角度分布と良い一致が得られている。また、今後研究を進めるうえで必要になる、膨大なデータ処理に対応するための高速PCの整備を進めることができた。
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