2023 Fiscal Year Annual Research Report
Transformation dynamics of spatio-temporal coherence of high-harmonic generation in terms of complex spectral analysis
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18K03496
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
田中 智 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 教授 (80236588)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | コヒーレント強電場 / パラメトリック増幅 / 量子もつれ / 複素スペクトル解析 / rigged Hilbert space |
Outline of Annual Research Achievements |
高強度入射レーザー場と電子との非線形相互作用による高次高調波発生に対して、レーザー場による電子の励起から高調波発生までを一連の量子散逸過程として捉え、電子の散逸過程と放射光の複合的な運動をコンシステントに扱う高次高調波発生の理論を構築している。不可逆過程を力学的に基礎づける拡張ヒルベルト空間における複素固有値問題に対してフロケーの方法を適用し、高調波発生過程の解析に向けた基礎理論の構築を進めている。2023年度においては、2022年度 に引き続き、高強度外場による電子系と電磁場の強い相互作用の結果重要となる仮想遷移相互作用の効果を取り入れた外場駆動下での光自発放射過程について研究を行った。モデルとしては散逸のあるパラメトリック振動子を考えた。これは、動的カシミール効果や超放射相転移系の有効モデルとしても用いられているものである。すでに我々が明らかにしていた複素スペクトルの特徴的な領域に対するエンタングルした光子対放射スペクトルの解析を共同研究者の神吉一樹氏とともに行った。この結果は、レーザー学会のレーザー研究2023年5月号に掲載された。さらに、強いコヒーレント外場によって励起された物質の光放射過程における、蛍光成分と散乱光成分の分離を行うために、着目振動子系がコヒーレント外場によって平衡位置を周期的に振動される励起過程における発光過程を解析した。その結果、複素スペクトル解析によって、共鳴状態と連続的固有状態の成分分離がそれぞれ、自発蛍光と散乱光成分とに分解できることを示した。この結果は、学術雑誌Physicsにて公開された。
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