2020 Fiscal Year Research-status Report
Possibility of Novel Crystallization by Controlling Size Distribution with Multiple Degrees of Freedom
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18K03500
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Research Institution | Aichi Institute of Technology |
Principal Investigator |
上羽 牧夫 愛知工業大学, 工学部, 教授 (30183213)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
勝野 弘康 北海道大学, 低温科学研究所, 博士研究員 (70377927)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | カイラリティ転換 / ヴィエドゥマ熟成 / カイラル結晶化 / 結晶多形 / 準安定状態 / 結晶サイズ分布 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,結晶異性体や準安定相など多自由度を持つ多数の結晶集団において,結晶粉砕,温度変化などの簡単な物理的条件変化によってサイズ分布関数を制御し,その結果として起きる新しい結晶成長の可能性を探求することにある.つまり,すでに見つかっている結晶粉砕や温度循環(温度の周期的変化) による結晶カイラリティの転換と結晶サイズ分布の関係を解明し,それを応用して可能となる新しい現象を提案することである. 前年度までの研究で,粉砕による結晶カイラリティ転換(ヴィエドゥマ熟成)の際に,微結晶のサイズ分布が一時的に広がるという異常現象の解明を行った.一般化Becker-Doeringモデルを粉砕条件に合わせて構成し,数値シミュレーションを行うことによって,超音波粉砕の場合に異常な分布が一時的に出現しうることを示し,異常分布自体はカイラリティ転換の必要条件ではないことを結論した. このカイラリティ転換機構に対する理解をもとに,同様な方法を使えば,クラスターによる結晶成長をする物質では,安定結晶相から準安定結晶相への転換が可能であろうとの着想を得た.そして同様なモデルの数値計算によって,安定結晶相と準安定結晶相が共存状態にあると,溶液中での結晶の粉砕攪拌によって前者を後者に転換することが可能であることを示し,そのための条件を評価したのである.さらに粉砕攪拌に限らず,粉末結晶を溶液中で温度循環させることでも,自由エネルギー的に不利な準安定状態の結晶に転換しうることを示すことができた.温度循環の方法は実用的に有用である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
準安定相を初期状態で十分多量に用意すれば,安定相をエネルギー的に不利な準安定相に転換できることを示すことができたが,温度循環によるオストヴァルト熟成の加速を証明するシミュレーションを行うことができていない. 原因としては,研究代表者の職務上,コロナ禍などへの対応に力を大きく割かざるを得なかったことと,出張の制限などによって共同研究者との討論の機会が十分に持てなかったことがある.
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間の1年間延長が認められたので,温度循環によるオストヴァルト熟成の加速の可能性など,やり残した課題をできる限り追及する.それでも研究の完成に至らない場合は,分担者が関連したテーマで来年度からプロジェクトを立ち上げ,私が分担者として協力することになったので,そのプロジェクトの中で引き続き研究を行う.
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Causes of Carryover |
計画した使途は,学会や研究会への参加,研究連絡のための旅費であったが,コロナ禍のためすべて実現が不可能になり(一部をオンラインで代用した),また研究の進展も遅れが出ていたため,研究期間を延長して次年度に継続することを願い出て認められた.2021年度は,出張も可能になることを期待するが,現在のような状態が続く場合は,通信環境の整備などにも使用する.
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Research Products
(3 results)