2022 Fiscal Year Annual Research Report
Study of rare earth compounds with unique structure by vector magnetometer
Project/Area Number |
18K03520
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
西岡 孝 高知大学, 教育研究部自然科学系理工学部門, 教授 (10218117)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 希土類化合物 / ベクトル磁化測定 / 四重極相互作用 / ワイル半金属 |
Outline of Annual Research Achievements |
特異な結晶構造を有する希土類化合物の磁性の研究として,三方晶HoAl3と正方晶LaPtGe型CeAlSi1-xGexの研究を行った。 RAl3 (R=希土類元素)は軽希土類では六方晶Ni3Sn型,重希土類では立方晶AuCu3型をとるするが,R=Tb, Dy,Hoではそれぞれ異なった結晶構造をとる。しかし,RAl3は,2次元のRAl3層の積層の違いだけで,相互に関係している。したがって,HoAl3では,六方晶の層と立方晶の層が混在している。HoAl3の比熱,ベクトル磁化測定から,反強磁性転移のほかに,2つの四重極転移を観測することに成功した。立方晶以外で四重極転移が発見された最初の例である。 CeAlSiとCeAlGeは異なる型のワイル半金属であり,擬2元系CeAlSi1-xGexの研究を行った。CeAlSiは強磁性,CeAlGeは反強磁性であり,強い面内異方性を持つCeAlSiのベクトル磁化測定を行い,面内に非常に大きな磁気異方性を発見し,これがワイル半金属と関連していることを指摘した。また,擬2元系の様々な組成の単結晶の育成に成功し,x~0.5で強磁性転移が反強磁性転移に突然変わることを明らかにした。 装置開発としては,冷凍機による3He温度の断熱法比熱測定に取り組んだ。昨年度までの研究で1K以上測定では,冷凍機を停止することで精密な比熱測定ができることを報告したが,3Heを用いて同様なことを行ったところ,低温維持時間が十分でないために,困難であることが分かった。しかし,冷凍機を運転しながら,0.7K以上の比熱測定に成功した。また,以前から取り組んでいたヘリウム回収装置の開発を完成した。これにより,99%以上のヘリウムを回収することが可能であり,7m3のヘリウムボンベ1本で100年以上実験ができることになる。また,電磁石によるベクトル磁化測定にも成功した。
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