2020 Fiscal Year Annual Research Report
Anisotropic superconductivity due to local Cooper pairs
Project/Area Number |
18K03522
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
服部 一匡 東京都立大学, 理学研究科, 准教授 (30456199)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 強相関電子系 / 異方的相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は,軌道自由度を持つ電子系における異方的な相互作用の効果を主に解析した.コロナ禍の影響もあり,当初計画していた大規模な数値計算については断念せざるを得なかったが,その代わりに種々の軌道自由度に関する新たな知見が得られ,概ね満足のいく結果を得ている. 第一の研究として,実験グループと共同でf電子系超伝導体であるPrTi2Al20の磁場相図について,異常な相互作用の磁場依存性を提案し,実験,理論両面からこの系で観測される軌道秩序状態について解析を行った.このような通常とは異なる相互作用がより低温で実現するこの系における超伝導の性質にどのように影響するかについては今後の課題であり,研究が継続中である.本研究の成果は英文誌JPSJおよび,日本語の解説記事として固体物理に掲載されている. 第二の課題として,四極子秩序のトリプルQ秩序状態の安定化機構を提案した.異方的相互作用と局所異方性を正しく考慮した面心立方格子上の四極子模型について平均場近似の範囲で詳細に調べた.部分無秩序サイトを含む4副格子秩序状態がトリプルQ秩序状態として表され,その安定化には磁気秩序では存在が許されない軌道自由度特有の異方性からくることを明らかにした.さらにこの機構を用いると,超伝導体PrV2Al20の未知の相転移とその温度磁場相図を定性的に説明することが可能であることを見いだした.これらの結果から,超伝導のクーパー対の対称性について,どのようなものが誘起されやすいかを今後さらに検証していく予定である.
|
Research Products
(5 results)