2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K03537
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
海老原 孝雄 静岡大学, 理学部, 准教授 (20273162)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 康弘 東京大学, 物性研究所, 准教授 (10292757)
関山 明 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (40294160)
徳永 将史 東京大学, 物性研究所, 准教授 (50300885)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 重い電子系 / 比熱 / 強磁場 |
Outline of Annual Research Achievements |
ThCr2Si2型正方晶を持つYbNi2Ge2は、低温まで磁気秩序を示さない典型的な重い電子系物質である。YbNi2Ge2において強磁場磁化測定(磁場 H<60 T)を行い、30 Tから40 Tの間で磁化増大の傾きが急になることを見出した。このYbNi2Ge2における磁化の傾きの変化は、ThCr2Si2型正方晶を持つ重い電子系CeNi2Ge2との比較を通じて、メタ磁性によるものと推論している。一方、磁化測定以外のYbNi2Ge2の強磁場物性測定はあまり行われておらず、メタ磁性機構については未解明の部分が多い。このため、非磁性重い電子系物質の示すメタ磁性機構の解明が、本研究の課題の一つとなった。 2019年度は、ThCr2Si2型正方晶を持つ重い電子系YbNi2Ge2において、温度領域は2Kから20K、14テスラ(T)までの強磁場比熱測定を行なった。その結果、電子比熱係数が約120mJ/K^2・mol(0T)から138mJ/K^2・mol(14T)まで増大することが明らかになった。この電子比熱係数の増大は、熱力学的にMaxwellの関係式として磁化の増大と関係付けられており、先行して行なった強磁場磁化測定の結果と整合的である事を示した。 以上の結果を、強相関系国際会議(International conference on strongly correlated electron system:SCES'19)でポスター・論文発表した。
Physical Properties of YbNi2Ge2 at High Magnetic Fields, Jumaeda Jatmika, Takao Ebihara, Atsushi Miyake, and Masashi Tokunaga, JPS Conf. Proc. 30, 011118 (2020)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
結晶育成装置の整備と合成手法の確立を2018年度(初年度)中に行った上で、大量合成と試料の大型化に挑戦した。この試料合成に関する成果をもとに、YbNi2Ge2において強磁場電子物性である強磁場中の比熱測定を行い、2019年度に新たな知見を得た。2019年度の成果は、上限磁場14Tまでで得られたが、東京大学を中心とする強磁場ラボラトリーにおける、25Tや45Tを上限とする比熱測定への、新たな展開性を示した。
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Strategy for Future Research Activity |
YbNi2Ge2において、東京大学を中心とする強磁場コラボラトリーでの25Tや45Tを上限とする比熱測定へと展開して、メタ磁性近傍での電子状態を明らかにする。加えて、大阪大学によるYbNi2Ge2の光電子分光実験に発展させる。
さらに、可能であれば、2018年度から2019年度にかけて合成した、ThCr2Si2型重い電子系YbCu2Si2における強磁場磁化や磁場中の比熱測定を行い、強磁場電子物性を明らかにする。
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Causes of Carryover |
2019年度には試料育成手法の開発が順調に進展し、失敗が少なくなったために材料費が最小化でき測定に注力できるようになった。この結果、研究の進展速度が上がり、米国立強磁場研究所への研究出張が必要になった。また、時間的制約から2020年度に米国出張を計画する必要が生じたため。
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Research Products
(6 results)
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[Presentation] 直線偏光制御硬X線角度分解内殻光電子分光による正方晶強相関Ce化合物の4f基底状態対称性の研究2019
Author(s)
藤原秀紀, 近藤佑宥, 濵本諭, 川田萌樹, 荒谷秀和, 中谷泰博, 中田惟奈, 久我健太郎, 木須孝幸, 山崎篤志, 東谷篤志, 門野利治, 今田真, 田中新, 玉作賢治, 矢橋牧名, 石川哲也, 保井晃, 斎藤祐児, 海老原孝雄, 関山明
Organizer
日本物理学会