2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of emergent electronic properties originated from geometric structures of crystals and local correlation effects
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18K03542
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
渡辺 真仁 九州工業大学, 大学院工学研究院, 准教授 (40334346)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 磁気量子臨界点 / グリュナイゼンパラメーター / 熱膨張係数 / 比熱 / 磁気体積効果 / SCR理論 / 量子臨界準結晶 |
Outline of Annual Research Achievements |
スピンゆらぎのSCR理論に基づいて、磁気量子臨界点近傍における磁気体積効果の理論的枠組みの構築に取り組んだ。SCR理論の自由エネルギーからエントロピーを導出し、エントロピーから熱力学関係式を用いて比熱、熱膨張係数、グリュナイゼンパラメーターの完全な表式を導出することに成功した。この表式は従来自由エネルギーから導出されていた熱膨張係数、グリュナイゼンパラメーターの表式よりはるかに簡潔であり、物理的描像を明確に得ることが可能となった。これにより、空間次元3次元系と2次元系において、強磁性および反強磁性の量子臨界点における比熱、熱膨張係数、グリュナイゼンパラメーターの温度依存性が、低温の量子臨界領域から高温のキュリー-ワイス領域までの全領域ではじめて明らかとなった。今回、熱膨張係数とグリュナイゼンパラメーターの臨界項に、温度に依存する係数が存在していることをはじめて明らかにした。その結果、過去の繰り込み群の理論では報告されていた、2次元反強磁性の量子臨界点における熱膨張係数の発散は生じないこと、および温度依存する係数が中間温度領域からキュリー-ワイス領域にかけての熱膨張係数とグリュナイゼンパラメーターの温度依存性に寄与していることが明らかとなった。また、スピンゆらぎの特徴的温度とCe系やYb系重い電子系の有効フェルミ温度(近藤温度)との関係を微視的に明らかにすることにも成功した。 また、量子臨界準結晶Yb15Au51Al34がYbの価数転移の量子臨界点に位置していることを理論計算により示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究遂行により、磁気量子臨界点近傍の比熱、熱膨張係数、グリュナイゼンパラメーターの完全な表式を、スピンゆらぎのSCR理論の枠組みに基づいて空間次元3次元系と2次元系における、強磁性および反強磁性の各場合に導出することに成功した。このため研究は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
磁気量子臨界点近傍における磁気体積効果の理論的枠組みを構築することに成功したので、今後は磁気量子臨界点以外の量子臨界点における臨界体積効果の理論的枠組みの構築に取り組む。また、強相関周期結晶や準結晶などの関連する物質についての実験との比較も行うため、国内研究会および国際会議へ参加する予定である。
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