2018 Fiscal Year Research-status Report
Search for novel physical properties in spin-orbit fluctuated systems
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18K03543
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
奥田 哲治 鹿児島大学, 理工学域工学系, 准教授 (20347082)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梶本 亮一 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 J-PARCセンター, 研究主幹 (30391254)
齋藤 智彦 東京理科大学, 理学部第一部応用物理学科, 教授 (30311129)
桑原 英樹 上智大学, 理工学部, 教授 (90306986)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 強相関電子系 / 擬ブルッカイト型Ti酸化物 / 電荷整列 / 二量体 / 熱電特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の顕著な研究成果は、フローティング・ゾーン法により擬ブルッカイト型Ti酸化物Al1-xTi2+xO5(0≦x≦1)の全組成域での単結晶育成に成功し、得られた試料の構造特性、輸送特性、磁気特性、高温熱電特性の評価を行い、幾つかの新規な知見を見出したことである。 まず、両母体物質であるAlTi3O5(x=0)とTi3O5(x=1)は、それぞれ室温でα相、β相と呼ばれる構造をとることが知られているが、Al1-xTi2+xO5の0.5<x<0.9の組成域においてTi3O5の高温中間相として知られるλ相と呼ばれる構造を室温で安定に取ることを初めて明らかにした。また、xを増加させることによる室温でのλ相からβ相への構造転移は格子定数に不連続な大きな変化があり、その1次的な構造相転移の近傍では、Ti3O5のβ相で生じていると考えられている電荷整列(Ti3+-Ti3+ dimer形成)の揺らぎに起因すると思われるユニークな磁性の臨界現象が起こることを発見した。 さらに、Al1-xTi2+xO5において、室温でλ相からβ相へ転移する組成域(x<0.9)までは、Ti量(x)の増加に対して、1000 K付近の高温域で比較的に絶対値の大きな負のゼーベック係数(~-90μV/K)を維持したまま、1 mΩcmのオーダーまで電気抵抗が下がることを見出した。これらの結果から導出される熱電電力因子は、実用化レベルの1/10程度にまで到達している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績に示した通り、本年度は、擬ブルッカイト型Ti酸化物Al1-xTi2+xO5(0≦x≦1)の全組成域での単結晶育成に成功し、特定の組成域における室温でのλ相の出現、λ相からβ相への構造相転移近傍でのユニークな磁性の臨界現象、および、高温での比較的に優れたn型の熱電特性などを新たに見出したので、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
まず第一に、新たに見出した種々の擬ブルッカイト型Ti酸化物Al1-xTi2+xO5(0≦x≦1)の物性について原著論文等にまとめると同時に、さらに詳細な物性を調査していく。また、現時点では、得られた単結晶の大きさでは高温までの熱伝導率を正確に測定する手法がなく、熱電の無次元性能指数の導出ができない。そこで、その前段階として、最も優れた熱電電力因子を示すλ相のAl1-xTi2+xO5の多結晶試料を作成し、その無次元性能指数を評価することで、本物質の熱電材料として可能性を吟味していく。さらに、Ti3O5のλ相は光照射によりβ相に可逆的に変化することが知られているため、室温でλ相が安定となることを見出したAl1-xTi2+xO5単結晶(0.5<x<0.9)の光誘起相転移現象についても調査していく。 さらに、本年度以降は、FeTi2O5、MgTi2O5も同様の擬ブルッカイト型構造をとることが知られていることから、Ti3O5においてFe、Mg、Mnなどを置換した物質の単結晶育成を試み、結晶が得られた場合にはその物性評価を行い、熱電材料としての可能性の調査や未知物性の探索を実施していく。
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Causes of Carryover |
当初平成30年度に予定していた中性子実験の一部を平成31年度に延期することとなったため。次年度使用額は、平成31年度(令和元年度)の中性子実験に必要な消耗品費として使用する。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Elastic and dynamical structural properties of La and Mn-doped SrTiO3 studied by neutron scattering and their relation with thermal conductivities2018
Author(s)
Ryoichi Kajimoto, Mitsutaka Nakamura, Naoki Murai, Shin-ichi Shamoto, Takashi Honda, Kazutaka Ikeda, Toshiya Otomo, Hiroto Hata, Takahiro Eto, Masaaki Noda, Hideki Kuwahara, Tetsuji Okuda
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Journal Title
Scientific Reports
Volume: 8
Pages: 9651-1~8
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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