2019 Fiscal Year Research-status Report
Wetting of Real Surface with Chemical and Physical Defects
Project/Area Number |
18K03554
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
眞山 博幸 旭川医科大学, 医学部, 准教授 (70360948)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 濡れ現象 / ピン止め効果 / 曲面の数学 / 汚れた表面 |
Outline of Annual Research Achievements |
現実の表面では必ず汚れや凹凸が存在する。汚れた部分は滑らかな表面が示す接触角と異なる接触角を示す。このため、汚れていない表面をスムースに移動していた液滴の接触線は汚れた部分との境界で引っかかり(ピン止め)、接触角だけが変化する現象が観察される。また、物理的な突起がある場合においても、突起に接触線がピン止めされる。このとき、ピン止めは接触角に反映されたり、複数の突起に支持された気液界面がくぼむ原因となる。 今年度は超撥水表面の表面構造(物理的な突起)が動的な濡れに及ぼす現象に関して大きな研究成果が得られた。具体的には、有機化合物の微結晶で覆われた表面に水滴をある高さから落下させたとき、水滴の気液界面は表面構造に接したとき、複数の突起に支持されてくぼみ、水滴が跳ね返る原因となる。どのような条件のときに水滴が跳ね返るかを実験と理論の両面から明らかにした。理論的考察では、複数の突起にピン止め効果により支持された気液界面がくぼんだときにラプラス圧、衝突時の水滴の運動エネルギー、表面構造に接したときの界面エネルギー、水滴が変形した際に生じる散逸エネルギーを考慮した。これらの成果はハスの葉の上でどうして雨粒が跳ね返るのか、シロアリの翅がなぜ霧は付着するのに雨粒は跳ね返すのか(大きさの違う水滴に対する挙動の違い)といった、植物や昆虫の撥水現象とも大きく関係している。研究成果は原著論文2報および国際学会での基調講演1件、招待講演1件で発表した。また、国内の専門雑誌より複数の原稿依頼があった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1~100マイクロメートルの突起がある表面を作製し、現在、水滴形状の観察に取り組んでいる。形状の定量化(数式化)を行っているところである。概ね1年目の目標を達成している。 また、表面構造のある超撥水表面の上での水滴の跳ね返りの理論をより一般化した論文を執筆中である。
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Strategy for Future Research Activity |
物理的欠陥で変形した水滴の形状の定量化を行い、表面積を求め、増加した表面エネルギーからピン止めエネルギーを算出する方法を確立する。その一方で、化学的ピン止め効果を有する表面の作製方法について検討を行う。さらに超撥水表面の表面構造によるピン止め効果を動的な濡れ現象に拡張する。
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Research Products
(6 results)