2021 Fiscal Year Research-status Report
Wetting of Real Surface with Chemical and Physical Defects
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18K03554
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
眞山 博幸 旭川医科大学, 医学部, 准教授 (70360948)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 濡れ現象 / ピン止め効果 / 曲面の数学 / 汚れた表面 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度の研究成果はいくつかあるが、その中でも濡れ現象と摩擦現象の研究について大きな成果が得られた。O/Wエマルジョンを2つのソフト界面(寒天ゲル)に荷重をかけて挟んで上の界面を正弦波状の往復運動でせん断力をかけると、速度が十分に小さい条件において静摩擦が発現するものの、大きな履歴を示すこと、その後観察される静摩擦から動摩擦への変化の過程も履歴も荷重の大きさと正弦波運動の角速度に依存して大きく変化することが見いだされた。実験後にO/Wエマルジョンを観察すると、分散状態が変化しており、せん断運動に伴ってO/Wエマルジョンの合一や表面付着が起こっている可能性が見いだされた。考察の結果、現象のメカニズムはトライポロジーのストライベック曲線に基づいて、正弦波運動の速度条件によって境界潤滑、混合潤滑、流体潤滑の間で摩擦条件が変化することが見いだされた。さらに、実験に用いた寒天ゲルは粘弾性体でもあるので、摩擦挙動を理解するためには静摩擦ではVogtモデルと動摩擦ではMaxwellモデルの両面を考慮する必要があることも明らかとなった。さらに界面活性剤を用いて作製した泡を2つのソフト界面で挟んで同様な実験を行った結果、Q/Wエマルジョンでは観測されなかった動摩擦過程で細かい振動が見いだされた。これは周期的に配列した泡同士の間で摩擦がおきた結果であると考えられる。このように、2つの界面間が流体に濡れた時と、濡れる弾性体(泡)が存在するときに質的に異なる現象が観察された。これらの現象は皮膚の濡れ現象、さらに皮膚をすり合わせたときに得られる感覚とも密接に関係しており、現実の汚れた表面の濡れ現象の観点からも極めて重要な知見であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
一昨年度に引き続いて2021年度は新型コロナウィルスの影響で国内学会および国際学会がオンライン開催となったため、対面での情報収集や情報交換を行うことができず、研究の進捗に遅延が生じた。オンラインでも研究打ち合わせを行ったものの、研究進捗の遅れを取り戻すには至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は新型コロナウィルスの感染拡大の状況が沈静化が見込まれる。感染対策を講じて対面での情報交換や学会出席で研究を推進してゆく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの感染拡大により、国内出張で旅費をほとんど使用することができなかった。次年度に使用する。
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Research Products
(6 results)