2019 Fiscal Year Research-status Report
リオトロピック液晶キュービック相の極性‐非極性界面構造の解明
Project/Area Number |
18K03557
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
岡 俊彦 静岡大学, 電子工学研究所, 准教授 (60344389)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | リオトロピック液晶 / キュービック相 / 単結晶領域作成 / 小角X線単結晶構造解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
非イオン界面活性剤のヘキサエチレングリコールドデシルエーテルと水からなるリオトロピック液晶1型共連続キュービック相の単結晶を、直径1㎜の石英細管中で作成した。またヘプタエチレングリコールドデシルエーテル、オクタエチレングリコールドデシルエーテルでも作成した。これらを用いて、研究代表者が開発した小角X線単結晶構造解析法を使い、電子密度分布を明らかにした。 電子密度分布から、三重周期極小曲面の一つであるジャイロイド曲面上に水が位置していた。さらに、水を挟む形で両側に界面活性剤の鎖状の極性頭部、そしてその外側に非極性炭化水素鎖が位置していた。極性頭部と非極性炭化水素鎖の間に極性-非極性界面が位置するが、その界面はジャイロイド曲面に平行であった。界面自由エネルギーを最小にする平均曲率一定曲面に、界面はなっていなかった。他の作用により、界面が平均曲率一定曲面になることを妨げられていると考えられる。この作用としては界面活性剤の極性鎖の伸びエネルギーが考えられる。極性領域には、極性鎖以外に水も含まれるが、極性鎖がエントロピーを大きくするためには、界面が極小曲面に平行な構造が有利と考えられた。以前に2型共連続キュービック相のの界面構造を明らかにしたが、形成原理も1型と2型で共通でとらえることができることを示した。一方で非極性鎖のパッキングはエントロピー的には不利な構造となっていることが予想された。極性領域のパッキングの方が自由エネルギーに対する寄与が大きいと推定された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
非イオン界面活性剤/水系のリオトロピック液晶の1型共連続キュービック相の電子密度分布を明らかにした。そして界面構造を明らかにし、その形成原理の一端を明らかにできた。このため研究はおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者が開発した小角X線単結晶構造解析法を用いて、他の系のリオトロピック液晶共連続キュービック相の電子密度分布を求め、極性-非極性界面構造を明 らかにしていく。多くの系での研究が必要である。
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Causes of Carryover |
当初予定していた海外学会への参加のとりやめや、三月の学会が直前で中止になったことなどで残額が生じた。翌年度分と合わせて消耗品などの物品費として使用したほうが有効に活用できると判断した。
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