2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K03561
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
宮崎 淳 和歌山大学, システム工学部, 講師 (50467502)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 光熱変換顕微鏡 / 生細胞イメージング / ミトコンドリア / リソソーム / 無標識イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は光熱変換顕微鏡で生細胞を観察する際に問題となっていた画質低下を解決するため、新しい光検出器を製作した。光熱変換顕微鏡では2つのレーザ光(ポンプ光,プローブ光)を試料に入射し、レーザースポットを走査させながら各点での信号強度を記録し画像を再構成するが、細胞の縁など屈折率変化の大きい部分では、プローブ光が屈折され透過光強度が変動する。このとき透過光強度の変動により光検出回路の出力が飽和すると、高周波信号発生に伴う偽信号が生じ、また本来観測される信号が喪失するため画質が低下することが問題であった。今年度は本測定で用いているバランス型光検出器の回路構成を最適化することで、ダイナミックレンジを向上し出力の飽和を抑制した。それにより細胞の縁部分で大きな屈折率変化を示す球形の浮遊細胞を観察した際の画質低下を抑えることに成功し、特に細胞の縁に局在しているミトコンドリアをより鮮明に観察することができるようになった。 また光照射による細胞へのダメージを低減し、より高感度・高速に計測できるよう使用する光学素子を見直し入射光の波面収差を低減させた。さらに光利用効率の向上のため光学系を改良した。これらの改善により信号雑音比を数倍程向上することができ、生細胞内のミトコンドリアとリソソームをより鮮明かつ高速に観察することができるようになった。また同時多周波数計測に向けて4チャンネルロックイン増幅器を製作し、チャネル間の信号のクロストーク等の性能を評価した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
生細胞中のミトコンドリアを観察する際に問題となっていた画質低下を改善し、より鮮明な画像を計測することができるようになった。本研究課題の遂行には計測画像の信号雑音比向上が何より重要であり、そのため研究全体としておおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は同時多周波数計測法による熱拡散率マッピングを行い、概ね計画通りに研究を推進する予定である。一方で本研究によりミトコンドリアとリソソームを無標識かつライブで高速・高感度に観察する技術を確立することができた。今後はこれら細胞内器官のモニタリングによる細胞内代謝の解析へ向けた研究開発も平行して推進する予定である。
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Causes of Carryover |
共焦点蛍光イメージングのための光学系セットアップを次年度に行うため次年度使用額が生じた。次年度はそのために必要な光検出器や光学部品を購入する予定である。
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Research Products
(5 results)