2019 Fiscal Year Research-status Report
Theoretical studies of twist-bend liquid crystalline phases
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18K03566
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
松山 明彦 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 教授 (60252342)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ツイストベンドネマチック / 液晶相 / バナナ型分子 / ねじれ / 曲げ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではこれまでに、(1)バナナ型分子の曲げ角度に依存したテンソル秩序パラメータの導出を行い、(2)ネマチック相(3)コレステリック相へと研究を進めてきた。本年度は、さらにツイストベンドネマチック(NTB)相へ研究を進展させた。バナナ型分子の軸不斉(axial chirality)を考慮して、軸のねじれ角と、曲げ角の2つの関数としてテンソル秩序パラメータを導出した。さらに1軸ネマチック相と2軸ネマチック相を定義するための4つの配向秩序パラメータの導出を行った。これらの秩序パラメータを用いて、ねじれによる分子間相互作用を考慮して自由エネルギーを構築し、曲げ角度と温度の平面状の相図を計算した。軸不斉により相図は曲げ角度90度に対して左右対象にはならないことを示した。1軸NTB相や2軸NTB相の存在を理論的に示した。さらに、バナナ型分子のスペーサ基のC-Cボンドのゴーシュ配座とトランス配座を考慮して、ネマチック相転移についての研究を行った。ここでは、C-Cボンドのねじれの強さをパラメータとして相図の計算を行った。ボンドのねじれによってさまざまな相図が現れることを示した。これらの結果は、実験的にはまだ確認されていなが、今後のNTB相の研究には重要な知見を与えることになる。以上の結果は,2本の学術論文に採択済みである。
このような平均場理論からの研究は,国内外において少なく,捩れと曲げ歪みを持つ新規な液晶相の基礎物性のみならず,材料分野への基礎的知見を提供することができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までのところ,バナナ型分子の”曲げ角度”と”軸不斉”を考慮したテンソル秩序パラメータを導出した。それを用いて,新規な3つのネマチック相の存在の予測や、コレステリック相への相転移温度と曲げ角度依存性についての相図の計算を行った。さらに,理論を発展させて、NTB相についても研究を行なった。特に,1軸と2軸のNTB相の存在や、軸不斉による相図の非対称性を議論できたことは、当初の計画通りである。以上の結果は,2本の学術論文に採択済みであり,研究は概ね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に沿って,スメクチック相の自由エネルギーを構築し,バナナ型分子の曲げ角度に依存した新規なスメクチック相について調べる。ツイストベンドスメクチック相やキラルスメクチック相などの、鏡映対称性の破れを伴う相転移について議論を展開していく。 さらに,高分子液晶ゲルや高分子液晶などの高分子液晶系で起こるねじれと曲げ効果など,新しい研究の発掘も行う計画である。
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Causes of Carryover |
コロナウイルスの影響で3月に参加予定していた国際会議(1件)や国内会議(3件)が全て中止となりその旅費として確保していた予算が残った。次年度もコロナの影響で旅費は少なく見積もって良さそうなので、物品購入に充てる計画である。
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Research Products
(8 results)