2020 Fiscal Year Annual Research Report
Theoretical studies of twist-bend liquid crystalline phases
Project/Area Number |
18K03566
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
松山 明彦 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 教授 (60252342)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ツイストベンドネマチック / 螺旋反転 / コレステリックゲル / バナナ型分子 / 液晶 |
Outline of Annual Research Achievements |
3年間の研究では,バナナ型分子が作る,ねじれと曲げ変形を持つ新規な液晶相であるツイストベンドネマチック(TBN)相についての理論を構築し,温度とバナナ型分子の曲げ角度に依存したさまざまな液晶相を理論的に予測した。ネマチックダイレクターと捩れることによる局所的な外場(電場)のカップリングによって,TBN相がネマチック相の低温側に現れることや,バナナ型分子の混合系では,濃度に依存してネマチック相からTBN相に相転移することなどを見つけた。本研究により,多くの実験で観測されている現象を定性的に説明できた。また,ねじれが右巻きから左巻きに変化する,螺旋反転についても理論を構築し,実験との比較も行なった。螺旋反転の重要なパラメータとして,キラルカップリングパラメータを導入し,これまでの実験を説明できたことは大きな成果である。 さらに,最終年度には,層状のスメクチック相がつくるツイストベンドネマチック相(SmTBN)に理論を拡張し,様々な相転移を予測した。実験的に観測されている結果と一部は定性的に一致したが,今後更なる理論の改良は必要である。この結果は,緊急性のある研究結果であり,Phys. Rev. E (Rapid Communication)に掲載された。 また,バナナ型分子の,温度と曲げ角に依存した,等方相,ネマチック相,2軸ネマチック相についての理論を構築し相図を計算した。理論では新規な3つのネマチック相を提案したが,これについては今後の実験が待たれるところである。 3年間の研究中には,液晶分子間の水素結合による会合現象によってNTB相が発現する実験の報告もあった。今後,液晶の会合現象を考慮した理論的研究への展開を考えることが重要である。
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Research Products
(9 results)