2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K03572
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Research Institution | Fukuoka Institute of Technology |
Principal Investigator |
下川 倫子 福岡工業大学, 工学部, 助教 (80554419)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂口 英継 九州大学, 総合理工学研究院, 准教授 (90192591)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | パターン形成 / 不安定化 / 界面 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、渦輪の多角形への変形メカニズムの解明を通して粘性流体における非平衡界面の変形現象を理解することである。粘性流体中を沈降する液滴は 沈降過程で渦輪に変形した後、自発的にいくつかの液滴に分裂する。日常生活で使用する万年筆のインクとグラスに注いだ水を使えば、誰でも簡単に観察できる身近な現象であるが、液滴の形状や沈降速度が時間とともに変化する非定常な系であるため、そのダイナミクスが十分に理解されているとは言えない。そこで、我々は液滴と粘性流体の界面で生じる不安定化についての研究を通して、そのダイナミクスを理解することを考えた。昨年度は、沈降する渦輪の不安定化によるモード選択の揺らぎについて、実験と数値計算の両方からアプローチした。今年度は、粘性流体の水深を浅くした条件下で起こる水平方向の界面不安定性に焦点を当てた。実験で、液滴に含まれる界面活性剤の濃度と溶液の粘度を変化させ、実験を行い、二流体界面で不安定化が起こる領域を調べた。次に、二流体の界面張力差による液滴溶液の駆動、二流体界面で生じるコロイド凝集、二流体界面で凝集されたコロイドのはきよせを考慮した現象論的モデルを提案した。現象論的モデルから、二流体界面での安定性を調べたところ、実験と同様の傾向が得られた。以上のことより、上記3要素が水平方向の不安定化において重要であることが分かった。昨年度に実施した渦輪の不安定化のモード選択については、国際学会や国内の学会で発表し、海外の研究室のセミナーで講演した。また、本年度実施した水平方向の不安定化に関しては、国内の学会で発表し、現在、学術論文を投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、水平方向の界面不安性に着目した研究を行った。実験と現象論的モデルから、二流体の界面張力差による液滴の溶液の駆動、二流体界面でのコロイド凝集、凝集されたコロイドのはきよせが、水平方向の界面不安定性において重要な要因であることが分かった。これにより、本研究のタイトルである界面不安定性による多角形渦輪の形成メカニズムの解明において重要な不連続な界面変形のダイナミクスの解釈を与えることができた。以上のことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、本研究のタイトルである界面不安定性による多角形渦輪の形成メカニズムの解明において重要な二流体界面で生じる不連続な形状を持つ界面変形に着目した実験的研究を実施し、そのダイナミクスの解釈を与えた。それと並行して、渦輪の成長速度に関する測定も行ってきた。渦輪の成長速度に関する研究を今後も続け、渦輪の成長を決定する物理ダイナミクスを明らかにする。得られた結果と、昨年度に着目した鉛直方向における二流体界面の不安定化及び本年度に行った水平方向における二流体界面での不安定化の研究結果との融合により、3次元で起こる多角形渦輪の形成メカニズムの理解を目指す。
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Causes of Carryover |
残額は、当初から計画していた国際会議旅費の一部を、他の資金からの援助を受けて支出したことにより生じた余剰であり、研究計画の未達による物ではない。
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