2019 Fiscal Year Research-status Report
Study of synthesis of amino acids and organic molecules during cooling process of a hot gas plume
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18K03575
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
三重野 哲 静岡大学, 理学部, 教授 (50173993)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アミノ酸 / 小惑星衝突 / 高温ガスプルーム / 衝突合成反応 / 冷却過程 / パルスアーク放電 / ガス銃 / ラジカル分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)宇宙での小惑星衝突による有機分子合成反応を模擬するため、2段式軽ガス銃を用いた実験を行なった。衝突時に発生する分子の「その場計測」のため、Q-mass質量分析器を用いて測定を行い、種々の分子を検出することができた。合成で発生した「すす」を電子顕微鏡で分析し、種々の球状炭素カプセルが合成されることを見出した。 2)合成試料を加水分解し、濾過後、2D液体クロマトグラフ分析した。その結果、種々の光学異性体 (D型、L型)アミノ酸分子を検出することができた。D/L比は、1より小さい値であった。 3)間欠アーク放電装置を開発し、窒素ガス雰囲気で炭素原子を昇華させ、アミノ酸合成を試みた。得られた「すす」から有機分子を抽出し、液体クロマトグラフ法で分析した。その結果、種々のアミノ酸が確認された。アミノ酸合成率は、衝突実験結果よりも多かった。アーク放電時にも、強いCN分子からの発光が見られ、「CN分子を含むラジカル分子の結合からアミノ酸が合成される」という我々の仮説を強く支持する結果であった。 4)パルスレーザー法を用いて、窒素ガス中で炭素原子をアブレーションさせ、炭素ナノ粒子を合成させた。「すす」合成率はかなり低いが、分析可能な試料を得ることができた。この試料の分析を行いつつある。 5)アミノ酸の気相合成モデルを検討している。種々の論文を基に検討し、CN分子と微粒子上・表面拡散が重要であると考えている。 6)研究成果について、国際会議や国内の学会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)予測どおり、間欠アーク放電法を用いて、種々のアミノ酸を効率的に合成できることが分かった。アミノ酸の光学異性体分析により、D/L比が1未満であることが分かった。この非対称性は、生物における非対称性と繋がる可能性があり、注意深い分析を繰り返す必要がある。 2)アーク放電の発光分析、FT-IR分析、質量分析により、高温ガスプルーム中及び微粒子表面でのラジカル分子反応のモデルを検討した。文献資料も含めた検討により、「CNラジカル分子」が重要であること、および、「炭素ナノ粒子表面で拡散するラジカル分子の結合」が重要であることが分かった。 3)間欠アーク放電法のよるアミノ酸合成は、これまでに無い新しい合成法と考えられる。その成果を、国際会議などで発表し、評価を得ることができた。 4)窒素ガス中レーザーアブレーション法で「炭素すす」を合成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
1)間欠アーク放電法における実験条件(ガス種、圧力、放電電流、放電時間など)とアミノ酸合成の関係を是非明らかにしたい。発生ラジカル量とアミノ酸合成の関係を明らかにしたい。よって、この実験を推進していく。 2)アミノ酸異性体の非対称性が大きな疑問点である。なぜ非対称になるか、その理由を追求したい。 3)レーザーアブレーション法で作られた「すす」中にどれほどアミノ酸が含まれるか、注意深い分析を行いたい。 4)研究成果を国際論文誌に投稿し、国際的評価を受ける計画である。
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Causes of Carryover |
有機分子の外部分析を依頼したが、分析に遅れが生じ、全体の分析がやや遅れた。そのため、分析用消耗品の利用予定が次年度に繰り越された。2020年度に分析用消耗品(ガラス器具、手袋など)を購入予定。
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