2019 Fiscal Year Research-status Report
レーザープロセスによる核融合炉用大容量高効率水素同位体吸蔵体の開発
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18K03580
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山内 有二 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (80312388)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
越崎 直人 北海道大学, 工学研究院, 特任教授 (40344197) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 核融合炉用水素同位体吸蔵体開発 / パラジウム / トリチウム |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は液中レーザー溶融法を用いて、サブミクロン-1ミクロン程度の球状パラジウム(Pd)粒子を条件を変えながらで作成するとともに、その水素吸収・脱離特性を1気圧以下の範囲で評価した。さらに核融合炉実機での利用を想定し、水素吸収・脱離を繰り返すことによりその特性が変化するかについて評価した。 原料Pd粒子を含有したコロイド溶液にNd: YAGレーザー(波長: 355 nm、パルス幅: 7 ns)を用いてレーザーを照射し、球状Pd粒子を作製した。Wako製原料Pd粒子では溶媒に水、エタノール、Aldrich製原料Pd粒子では溶媒に水を用いた。これらの原料Pd粒子と作製した球状Pd粒子の水素の吸収・脱離特性を評価するため、水素の微小吸収・脱離量を測定できる装置(PCT(圧力-組成-温度)特性測定装置)を設計・製作し、試料の水素吸収・脱離特性を調べた。また、電子顕微鏡などを用いて試料表面・バルク物性を調べ、水素吸収・脱離特性との関連性について検討を行った。 液中レーザー溶融法により、平均粒径150 nm、500 nm、1ミクロンの球状粒子を得た。エタノール溶媒中で作成した平均粒径1ミクロンの球状粒子では、大気圧での吸収量が原料の半分となった。X線回折などから球状粒子中に炭素が固溶して格子が膨張、そのために水素の吸収を阻害したことが考えられた。一方、水溶媒中で作成した球状粒子では、大気圧での水素吸収量が増加した。結晶性に優れた構造の起因する水素拡散の促進のためと考えられた。 また、大気圧までの水素吸収・脱離を30回まで繰り返したが、水素吸収・脱離特性に変化は見られず、微粉化も起こらなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
液中レーザー溶融法により微小の球状パラジウム粒子を作成できることを明らかにするとともに、原料に比べて優れた水素吸収・脱離特性を持つパラジウム粒子を作成することができたため。さらには微量の水素吸収・脱離量を測定できる装置を製作し、実証することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
条件を変えることで、サイズやその均一性などを変えた球状パラジウム粒子を液中レーザー溶融法などにより作成し、水素吸収・脱離特性やそれらの安定性について評価する。さらには吸収温度を変化させて、水素吸収の活性化エネルギー等の評価を行い、総合的な評価検討や最適化を図る。一方でパラジウム以外の水素同位体吸蔵体についても、サブミクロン球状化をベースに、水素吸収・脱離特性の評価と改良を行う。
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Causes of Carryover |
水素吸収・脱離特性評価装置の製作や特性評価にあたり、当初想定していた金額よりも安価な機器や消耗品を入手できたため。次年度の物品費として、当該装置の改良のための物品費も使用する予定である。 また、パラジウム原料をさらに購入して系統的なデータを取得する必要があるとともに、他原料を用いた水素吸蔵体の作成・評価のため、次年度に物品費や分析費(その他経費に計上)として多く使用する予定である。 得られた知見について次年度に国際会議も含めて複数回成果報告する予定であり、当初計画より旅費を多く使用する。
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