2018 Fiscal Year Research-status Report
燃焼プラズマ研究に向けた高エネルギー粒子物理と熱化粒子物理の統合
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18K03587
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Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
西村 伸 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 助教 (60311205)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 高エネルギー粒子物理 / 非対称トロイダル磁場配位 / MHD平衡 / 古典・新古典輸送 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画の申請後に中性粒子ビーム入射(NBI)で生成された高速イオン速度分布の非等方性(Legendreオーダー二次)の計算方法(申請書にも述べた随伴方程式法と固有関数法の組み合わせ)とその諸応用に関する論文を投稿し、Phys.Plasmas 25, 042509 (2018)として出版された。今回交付決定後の2018年度検討は、申請書に述べた既存シミュレーションコードとの比較検討をこの新規計算手法も含めて行う事から始めた。連携研究者山口の協力を得て、大型ヘリカル装置(LHD)の実験条件における180keV接線NBIで生成される高速イオン速度分布に関し5次元シミュレーションコードGNETと、先にPhys.Plasmas 22, 092505 (2015)に示した運動量入力(Legendreオーダー一次)の固有関数法による計算、そして昨年の非等方性計算方法を比較する事を行った。これら随伴方程式法や固有関数法は、磁力線垂直方向の案内中心ドリフトを無視して位相空間次元を4次元に削減するとともに、ピッチ角空間に関する固有関数展開表現に基づいてエネルギー空間の取り扱いを常微分方程式に帰着させて計算時間短縮する手法と要約できる。今回の課題はこの位相空間次元削減の妥当性を磁力線垂直方向ドリフトも含んだ計算との比較で確認する事であった。結果としてはLegendreオーダー一次二次ともに大変良い一致が得られ、この結果を60th annual meeting of APS-DPP, Nov.5-9, 2018; Portland, YP11.044 (http://meetings.aps.org/Meeting/DPP18/APS_epitome)で報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画は非対称トロイダル磁場配位を検討対象として高エネルギー粒子物理と熱化粒子の古典ならびに新古典輸送の統合を目指す物であるが、こういう場合に注意を要するのが非対称配位特有の複雑な捕捉軌道粒子の挙動である。この観点では先にPhys.Plasmas 22, 092505 (2015)に示した運動量入力計算方法は周回軌道だけで決まってしまう問題であって、過去に軸対称トカマクを対象として考案されてきた数学手法を非対称配位に拡張するのは容易ではあったが、それだけで今後研究計画申請に述べたような更なる各種応用拡張を進めていく事が可能なのかについては疑問もあり何らかの検証が必要であった。初年度で捕捉軌道も含めるための随伴方程式法の妥当性検証が行われた事を受け、同じく随伴方程式を利用する接線NBIにおける高速イオンの非両極性系方向輸送に関しても論文発表を近日中に行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度ベンチマークテスト結果を論文投稿するとともに、以前よりアイデアのあったNBI高速イオン非両極性輸送の随伴方程式法による計算と、それの更なる拡張応用として燃焼プラズマ中の核融合生成高速イオンの自発トロイダル流の検討に進む。これらは2019年度中に論文投稿できるであろう。これを経て高速イオン存在環境における熱化粒子の古典ならびに新古典輸送という本来の課題に進む事ができる。これと並行して核融合研-京都大学の双方向共同研究においては、高速イオン荷電交換分光の検討も行う。
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Causes of Carryover |
年度後半に国際会議参加があり、この旅費および参加費が終了後でなければ確定・判明せず、その後に年度内購入物品を決定する事となった。この価格により残額4,428円が発生したが、次年度も国際会議参加や消耗品購入があるため、これらで使用する予定である。
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