2020 Fiscal Year Research-status Report
燃焼プラズマ研究に向けた高エネルギー粒子物理と熱化粒子物理の統合
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18K03587
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Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
西村 伸 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 助教 (60311205)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 磁場閉じ込め核融合 / 非対称トーラス配位 / 燃焼およびNBI加熱プラズマ / 高速イオン |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度に引き続き2020年度も (1) 接線NBIにおける高速イオンの非両極性径方向輸送と、燃焼プラズマにおける核融合生成高速イオンの磁力線方向自発流を準軸対称ステラレータ配位を主対象として検討する事 (欧州物理学会(EPS)プラズマ物理学コンファレンスにアブストラクト受理されており、2021年発表予定) (2) 高速イオン減速過程に最適化したCoulomb対数の検討 (衝突速度に依存するCoulomb対数を持つ本来のLandau衝突項を用いた運動論的方程式の解の性質を調べる) (3) 随伴方程式法(2018年発表)に用いる固有関数の捕捉ピッチ角への拡張 (従来は高速イオンソース項が周回軌道のピッチ角領域にある場合だけ随伴方程式解を示していたが、捕捉ピッチ角までソース項が広がった場合へ解を拡張する) の各理論的検討、数値計算例作成の作業を進めた。当初計画申請時には想定されていなかった事ながら、これらに深く関係する事として、核融合研スーパーコンピュータ(プラズマシミュレータ)の機種更新への対応作業もあった。これは当初2020年3月から3ヶ月ほどという予定だった物が第一回緊急事態宣言と重なって結局半年間近くかかったが、この運用停止期間中に従来この計算機で使用していた諸プログラムをパソコンに移植して使用するための書き換えを行った。過去の国内外共同研究において代表者西村が核融合研計算機に固有のライブラリを用いていた事が共同研究者とのプログラム共用の障害になった事がしばしばあり、そのような固有ライブラリを極力排除するこの作業はいずれ必要だったものであり、2020年の運用停止期間はその良い機会となった。EPS会議発表準備の他、上記各項目に関する論文の準備も進めてはいるが、本報告執筆時点では刊行には至っていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
昨年度報告に述べたように、「実績の概要」の項目(1)の検討を準軸対称配位を主対象として行うという方針決定とそれに従ったシミュレーション着手が二年度目の後半であった事、当初計画申請時に想定していなかった約半年間近くのスーパーコンピュータ運用停止期間が含まれている事から、遅れているとまず評価される事がある。これに加えて2020年度はそれ以前の通常年度より各国研究者との情報交換、学界動向調査の機会が減ってしまう年度となった事もこの評価の理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
「予算使用計画」に述べるように予算執行としては当初申請計画通りに全くなっておらず、本報告執筆時点では2021年度ですら予算執行できる見通しが立っていない。しかし本課題は磁場閉じ込め方式燃焼炉心に関する理論的検討であるから、2020年度同様にこのような状態でも行える理論検討、計算作業、論文執筆から行っていくとともに、国内学会、国際会議ともに2020年度後半頃からオンライン開催方式が定着しつつあるので、各国研究者との情報交換や学界動向調査のために上記に触れたEPS会議を始めとするこのような会議に積極的に参加していきたい。
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Causes of Carryover |
昨年度報告に述べたように2020年度予算は国際会議出席やそれに伴う国外研究機関訪問のための旅費・参加費を主たる出費項目と想定して支払い請求を行ったが、その直後から新型コロナウィルス感染拡大のためこれら会議の一年延期や中止が相次いで決定され始め、当初計画通りの予算執行の見通しが全く立たなくなった。所属機関担当部署と相談し、当初計画と著しく異なる目的に予算流用するような事を避けるため、2021年度までの助成期間延長を申請してこの事態に対処する事としたことにより、次年度使用額が生じたものである。しかし、当初2020年予定だったEPS会議は、まず一年延期が決定され、さらにその後に2021年にオンライン開催という予定変更が発表された。APS等の他の国際会議も同様に開催時期や開催形態がしばしば変更される状態が続いており、本報告執筆時点でも今後の予算執行の計画が立てられない状況にある。少なくとも今後数カ月は2020年度同様に予算執行がほとんど無い状態であり、それがまた一年間続き再度の助成期間延長が認められなければこの予算は返還する予定である。
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