2019 Fiscal Year Research-status Report
Study of electron cyclotron resonance heating in over-dense plasmas with direct oblique launching from the high field side
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18K03590
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Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
伊神 弘恵 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (10390634)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 電子サイクロトロン加熱 / 異常波 / 高密度プラズマ加熱 / 周辺プラズマ加熱 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度の大型ヘリカル装置(LHD)実験期間に強磁場側斜め直接入射法による異常波加熱実験を実施した。入射波の屈折がない場合には規格化小半径0.8付近に電子サイクロトロン共鳴(ECR)層が位置する磁場配位(Rax,Bt)=(3.75m, 2.736T)において、77GHz/150kW/0.2sの強磁場側からの異常波斜め入射により線平均電子密度0.3x10^19m-3のプラズマを着火できた。 同様の磁場配位において、中性粒子ビーム入射(NBI)で保持されたプラズマ遮断密度の70%の密線平均密度(5 x10^19m-3)で保持されたプラズマでは、77GHz/750kW/0.156sの入射で、トムソン散乱計測により規格化小半径0.61付近で0.25keVの電子温度上昇が観測された。また、7Hz/100%の電力変調入射ではトムソン散乱計測で測定された電子温度の条件付き平均並びに電子サイクロトロン放射(ECE)計測信号のFFT解析が示す温度上昇領域も規格化小半径0.61付近となり、異常波のマルチレイ光線追跡計算結果が示す吸収位置と良く一致した。77GHzのプラズマ遮断密度(7.35 x10^19m-3)に近い線平均密度が7.5 x10^19m-3のプラズマにおいては、7Hz/100%の電力変調入射時のECE信号のFFT解析により示される温度上昇領域が規格化小半径で0.71付近となり、こちらも、異常波のマルチレイ光線追跡計算結果が示す吸収位置と良く一致した。(ただし照準設定は上記と異なりECRは少しプラズマ周辺部に近くなる設定である。) 磁気軸の磁場強度が弱い配位(Rax,Bt)=(3.75m, 2.64T)では、密線平均密度が6 x10^19m-3のプラズマに対し、規格化小半径で0.95付近での電子温度上昇が確認され、有効な周辺部プラズマ局所加熱ができることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年のLHD実験期間内に実施した実験において、強磁場側からの異常波斜め直接入射によってプラズマ着火及びプラズマ遮断密度に近い密度までの局所加熱が可能なことが実証された。ただし、密度が高くなると加熱効率が減少する傾向があり、線平均密度が3x10^19m-3では87%だが、遮断密度に近い7.5 x10^19m-3では52%となる。しかし光線追跡計算による数値解析では後者の場合も入射電力の100%近くが共鳴吸収されることを示しており、実験結果とは異なる。最外殻磁気面より外側の領域における波動の屈折・反射・遮断領域の透過・モードカップリング等のプラズマ-波動相互作用をより正確に把握するための数値的解析による実験条件や照準方向の最適化検討が必要であると考えられる。 しかしながら、プラズマ周辺部領域のパラメータ分布のモデリングや波動-プラズマ相互作用に用いる数値解析コード開発の進捗が当初予定より遅れている。2次元波動伝播を扱うTASK/WF2Dコードで与える初期値設定に問題があり、この解決に時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
プラズマ周辺部領域におけるプラズマ-波動相互作用のより正確な数値的解析が可能となるように、TASK/WF2Dコードで与える初期値設定問題の解決を行う。また、プラズマ周辺部領域のパラメータ分布のより現実に近いモデリングに着手する。正確性の上がった数値解析を用いて実験条件や照準方向の最適化検討を行う。交付申請書では高密度かつ屈折率の磁場に平行な成分(N//)が小さい場合には異常波としてのサイクロトロン吸収が弱くなりECR層で吸収されなかった成分が高域混成共鳴(UHR)層で電子バーンシュタイン波にモード変換される場合に励起されるMHz帯のパラメトリック崩壊波を既設のディスコーンアンテナを移設して計測するという計画を記したが、UHR層付近には高速デジタイザとフィルタバンク式のスペクトロメータに接続されたMHz帯を計測できるダイポールアンテナが存在し、パラメトリック崩壊波の検出に十分な感度があると期待できるため、こちらを活用することとし、限られた研究予算を高速/高度な数値計算が可能なワークステーションに集中して使用することに変更する。
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Causes of Carryover |
TASK/WF2Dコードを用いた波動光学的解析のためにワークステーションを導入予定であったが、波動電場の初期値を与えるプロセスに問題があるため正しいと思われる計算結果を、現有するPCを用いた計算で得ることができない状態が解消できていなかったので、より高い能力を有するワークステーションの導入を見送った。2020年度には問題を解決し、ワークステーションと周辺機器(UPS, 外付け記憶メディア)を合わせて110万円程度で導入する予定である。また、研究発表用のノートPCも導入予定であったが、研究初年度の2018年度はLHD実験で本研究に関するマシンタイムを得ることができなかったため、発表できるデータが十分得られず導入を見送っていた。2019年度はマシンタイムが得られ発表するに足りるデータが取得できたことが年度末に明らかになったので、2020年度に約30万円の研究発表用のノートPCを導入予定である。
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