2019 Fiscal Year Research-status Report
トカマクプラズマの定常化運転に必要なMHD不安定性モード結合の発生条件の解明
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18K03592
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Research Institution | National Institutes for Quantum and Radiological Science and Technology |
Principal Investigator |
東條 寛 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 那珂核融合研究所 先進プラズマ研究部, 主幹研究員(定常) (80549212)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 負磁気シア配位 / ディスラプション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、これまで十分な議論がなされていなかった、プラズマ圧力を上昇していく途中(圧力限界以下の条件)のプラズマでのコラプス/ディスラプションが発生するパラメータ領域を特定することである。2019年度は、昨年度に引き続き、多数の実験結果をまとめ、コラプス/ディスラプションの傾向を調査できた。傾向の調査に当たっては、プラズマ電流およびプラズマ体積がほぼ同一になるように留意した。また、昨年度に研究進捗の妨げとなっていた安全係数分布・磁気シア分布の評価方法について、MHD平衡を決めるパラメータをグリッドサーチの多段的な利用によって探索するアルゴリズムの開発を行った。その結果、データ解析が格段に効率よく行うことができた。 本解析では、巨視的なパラメータ(プラズマ電流、磁場、プラズマ体積など)の時系列データをコラプス/ディスラプションした場合としなかった場合とで詳細に比較した。その結果、プラズマ電流の立ち上げ前後の低ベータ時においては、低磁場のプラズマで規格化ベータ値が高いほどコラプス/ディスラプションしやすいことが明らかになった。一方で、ポロイダルベータ値についての依存性は見いだせなかった。これは、同様のプラズマ圧力でも、磁場が低い方がコラプス/ディスラプションしやすいことを示す。更に、低磁場と高磁場での磁場のピッチ角を示す安全係数分布を評価したところ、低磁場では高磁場より安全係数が広い範囲でより低くなっていることを明らかにした。また、解析対象の放電において、シミュレーションコードMARG2Dによる理想MHD不安定性の安定性の評価を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
安全係数分布・磁気シア分布を効率良く評価する手法を開発したことで解析可能な放電が大幅に増えたものの、安定性に関わる数多くのパラメータをまとめ、コラプスやディスラプションの有無の分類を行うことに時間を要している。したがって、2019年度に達成予定であったディスラプションを回避可能な運転シナリオの作成に至っていない。そのため、進捗状況は「(3)やや遅れている」と判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、2019年度に得られた傾向を元に、局所的なパラメータ(安全係数・圧力勾配・磁気レイノルズ数)をまとめ、コラプス/ディスラプションが発生している領域を特定し、対応するMHD不安定性を同定する。MHD不安定性の同定においては、2018年度に解析した崩壊場所やコラプス/ディスラプション前に観測される揺動に関する結果も活かす。ここまでの結果を査読付き論文誌に投稿する予定である。上記の成果をさらに発展させ、低ベータでのコラプス/ディスラプションの回避するパラメータ領域から如何に高規格化ベータ値で励起する抵抗性壁モードの制御できるかを調べる。そのために抵抗性壁モードが安定化されるプラズマフローやプラズマフローシアについて調査する。これらの結果を元に、ディスラプションを回避できる運転シナリオをトカマクプラズマのシミュレーションコードTOPICSで到達可能か検証する。そして、JT-60SAの高自発電流割合プラズマに特化した運転シナリオや原型炉レベルの高プラズマ圧力に到達するまでの運転シナリオを検討する。
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Causes of Carryover |
研究発表を予定していた国内学会が新型コロナ感染症対策で中止になってしまった。また、研究の進捗がやや遅れており、運転シナリオ開発のためのコンピュータの購入が次年度にずれ込んでしまった。 2021年度は論文発表費、コンピュータの購入、必要に応じて学会発表の旅費に充てる計画である。
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