2020 Fiscal Year Research-status Report
核融合炉における高ベータ化と境界プラズマ自己構造形成に関する研究
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18K03594
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Research Institution | National Institutes for Quantum and Radiological Science and Technology |
Principal Investigator |
浦野 創 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 那珂核融合研究所 先進プラズマ研究部, 上席研究員 (70391258)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | Hモード / ペデスタル / 水素同位体 / MHD不安定性 / JT-60 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、トカマク型核融合炉においてプラズマ周辺部に形成される輸送障壁によって閉じ込めが改善される高閉じ込めモード(Hモード)を対象として、炉心プラズマの高プラズマ圧力化で起こる磁気軸シフトが周辺プラズマ構造に及ぼす影響とプラズマ断面形状の関係を理解することを目的としている。特に周辺ペデスタル構造は炉心プラズマ全体の閉じ込めや核融合炉の出力に対する境界条件となるため適切な予測とその制御が求められる。近年、炉心プラズマの高プラズマ圧力化で起こる磁気軸シフトが周辺プラズマ部のMHD不安定性を抑制することが示され、周辺プラズマはプラズマ境界近傍で局所的な特性を持つものではなく、プラズマ全体との大域的な相互作用の下でその性質が決定されることが分かってきた。そこで、本研究では、量子科学技術研究開発機構JT-60装置において、実験的に軽・重水素の高閉じ込めモードでは重水素プラズマの周辺部が高い圧力を持つことに着目し、重水素時に周辺部が安定化する原理を解析した。重水素プラズマでは、コア部の温度勾配に起因する微視的不安定性が抑制されるため、高い圧力が得られる。従って、プラズマコア部の改善による高プラスマ圧力化による磁気軸シフトが発生し、周辺プラズマ部のMHD不安定性が改善したため、高い周辺部圧力が得られることが分かった。本研究により、高ベータ化と境界プラズマ自己構造形成との関係を示す実験的証拠を得た。本研究成果は、2021年2月に核融合研究において権威のあるPlasma Physics and Controlled Fusion誌に投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題における高プラズマ圧力化による磁気軸シフトと周辺プラズマ安定化の関係を明らかにするため、量子科学技術研究開発機構JT-60における軽・重水素プラズマの高閉じ込めモードプラズマの解析を進めた。一方で、進捗状況に関しては研究成果をまとめ、論文投稿を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は、令和2年度に引き続き国際熱核融合実験炉における非放射化フェーズで実施される軽水素による放電に関して、令和元年度から開始した、量子科学技術研究開発機構JT-60装置における周辺プラズマ構造に対する水素同位体効果に関する解析を進めていく。また、プラズマ位置形状制御開発を進めながら、周辺プラズマの高性能化に向けたプラズマ断面形状による周辺プラズマへの影響に関して解析を進める。
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Causes of Carryover |
本研究の目的を精緻に達成するために量子科学技術研究開発機構JT-60装置での水素同位体効果の実験解析及びプラズマ位置形状制御の開発を重点的に進めた一方で、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、当初計画していた英国カラム核融合研究センターへの訪問及び実験参加を次年度以降に持ち越す形となった。 (使用計画)令和2年度における研究成果を令和3年度中に論文発表する予定である。また、新型コロナウイルス感染症が沈静化すれば英国カラム核融合研究センターへの訪問及び実験参加を行う予定である。これらの目的とそのために必要なデータ解析機器のために次年度使用額を用いる計画である。
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