2019 Fiscal Year Research-status Report
放射性廃棄物のマネージメント戦略による高い社会受容性を有した核融合炉概念の創出
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18K03595
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Research Institution | National Institutes for Quantum and Radiological Science and Technology |
Principal Investigator |
染谷 洋二 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 六ヶ所核融合研究所 核融合炉システム研究開発部, 主幹研究員(定常) (20589345)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 放射性廃棄物 |
Outline of Annual Research Achievements |
核融合炉の社会受容性向上において、重要と考える放射性廃棄物の埋設区分の同定を進めている。本年度は核融合原型炉において機器間のギャップなどの中性子ストリーミングを考慮した炉内構造物における中性子スペクトルを3次元中性子輸送コードMCNPコードで評価し、そのスペクトルに基づきDCHAINコードにより各機器の放射化計算を実施した。 炉内構造は高エネルギー中性子が発生する炉心プラズマから径方向に増殖ブランケットとダイバータ、次にこれら機器の後方にある遮蔽の役割を有するバックプレートとダイバータカセット、その後に真空容器、超伝導コイル、クライオスタット及び生体遮蔽の順番に配置される。解析の結果、低レベル放射性廃棄物の埋設区分毎に定められた濃度上限値から判断するとブランケットプラズマ対向壁(コーティング材料:タングステン)、ブランケット第一壁(構造材料:低放射化フェライト鋼)及びダイバータモノブロック(材料:タングステン)は中深度埋設に区分され、それ以外の大部分はコンクリートピット埋設に区分される。最後に生体遮蔽はクリアランスレベル以下に区分されると分かった。なお、定められた濃度上限値には埋設する地域によって核種移行の状況が異なることから例えばコンクリートピット埋設での濃度上限値には100倍の裕度を有しており、仮に埋設地を青森県六ヶ所村と想定し核種移行解析を実施すると、本解析で中深度に区分された機器はコンクリートピットで埋設できることが分かっている。さらに定期保守時に交換する機器のトリチウムインベントリ評価に向けて、評価モデルの分析や中性子損傷によるトラップ効果について検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に予定した核融合原型炉で発生する放射化物の評価と当該結果に基づく埋設区分の同定について、原型炉詳細モデルによる中性子輸送解析に基づく、炉内構造物の埋設区分を明確に出来た。また、昨年度に検討した評価方式とこれまでに整理したトリチウム挙動データに基づき、次年度からは実際にインベントリ評価を開始できる。
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Strategy for Future Research Activity |
核融合原型炉における交換機器であるブランケットとダイバータに含まれるトリチウムインベントリについて評価する。また、当該インベントリ量の廃棄体化、リサイクル及び再利用に向けた課題点の抽出を実施する。また、これまでの検討で得られた核融合炉特有の放射化物管理に関わる特徴を整理する。最後に得られた特徴に基づき、社会受容性の高い核融合炉を分析し、設計条件の構築と課題点の整理を行う。
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Causes of Carryover |
(理由) 昨年度は核融合炉で発生する廃棄物の埋設区分などの特性分析に注力し、当該特性に基づく廃棄物減容化に向けたマネージメント戦略の策定が十分に進められず、想定していた国際会議への出席を見送った。 (使用計画) 研究成果の発表及び廃棄物管理の専門家との討論・情報交換のため、国内外の学会に参加する。
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