2020 Fiscal Year Research-status Report
放射性廃棄物のマネージメント戦略による高い社会受容性を有した核融合炉概念の創出
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18K03595
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Research Institution | National Institutes for Quantum and Radiological Science and Technology |
Principal Investigator |
染谷 洋二 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 六ヶ所核融合研究所 核融合炉システム研究開発部, 主幹研究員(定常) (20589345)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 放射性廃棄物 / 埋設区分 |
Outline of Annual Research Achievements |
核融合炉の社会受容性向上において、重要と考える放射性廃棄物の埋設区分の同定を進めている。放射化した機器を搬出する際のトリチウム拡散の影響を分析するために炉内機器へのトリチウムインベントリを評価した。原型炉条件では、トリチウムはブランケット第一壁及びダイバータバッフルに2.0x1020m2s、ダイバータストライク点には2.0x1024m2sが入射される。トリチウムのエネルギーは170eV程度で対向壁のプラズマ側から約数nmの位置に入射され、その位置から各材料の温度分布に基づく拡散係数により材料内に分布される。解析の結果、運転中のトリチウムはブランケット第一壁には1.7g、ダイバータバッフルには0.4g、ダイバータストライク点には42gが定常的に滞留すると評価された。なお、中性子による損傷や入射・生成されるヘリウム量、並びに多種の水素同位体が混在する中での同位体効果はトリチウムインベントリにおいて大きく影響することが文献等で示唆されており、本科研費以外での共同研究や科研費において順次にデータの拡充を進めている。また、機器搬出前に高温で維持して除染可能かどうかを評価した結果、加圧水で制御可能な温度として機器温度を300℃で維持した場合、ほとんどのトリチウムが除染できないと分かった。次に炉内機器の主要材料において埋設区分に影響する核種はタングステンコーティングからはMo-93、低放射化フェライト鋼からはC-14である。これら核種に着目して、最大の放射化レベルであるブランケットの埋設区分を下げるためには核融合出力を15分の1まで下げる必要があり、発電炉としての成立性が見通せないと分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度に炉内機器のトリチウムインベントリ量の概算は完了した。この値に基づき定期保守時においてトリチウムを吸蔵する炉内機器をホットセルへ搬出する際の動線に関して、ライニング構造を有するコリドーを移動する場合と搬出用キャスクによる拡散の抑制を行う場合とで比較検討が実施可能である。この検討により、廃止措置時に発生する建屋からの放射化物量が分析できる。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に評価した核融合原型炉における交換機器に含まれるトリチウムインベントリに基づき、建屋への拡散、及び廃棄体化、リサイクル及び再利用に向けた課題点の抽出を実施する。また、これまでの検討で得られた核融合炉特有の放射化物管理に関わる特徴を整理し、社会受容性の高い核融合炉を分析し、設計条件の構築と課題点の整理を行う。
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Causes of Carryover |
(次年度使用が生じた理由)国際会議がCOVID-19で延期され、想定していた国際会議への参加費、渡航費及び滞在費が次年度使用へ計上された。 (使用計画) 今年度はデータ整理等のための備品整備と昨年度から延期された国際会議等に研究成果の発表及び廃棄物管理の専門家との討論・情報交換のために参加する。
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