2021 Fiscal Year Research-status Report
放射性廃棄物のマネージメント戦略による高い社会受容性を有した核融合炉概念の創出
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18K03595
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Research Institution | National Institutes for Quantum Science and Technology |
Principal Investigator |
染谷 洋二 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 六ヶ所研究所 核融合炉システム研究開発部, 主幹研究員 (20589345)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 放射性廃棄物 / トリチウムインベントリ |
Outline of Annual Research Achievements |
最も放射化レベルが高くなる真空容器内機器について、核融合原型炉の設計更新に伴う炉内機器の物量を更新した。再評価した結果、増殖ブランケットは2728 ton、ダイバータは1580 ton、バックプレート(遮蔽体)は6532 ton、真空容器は13053 ton、及び超伝導コイルは14502 ton程度になる。当該データに基づき、核融合原型炉における総廃棄物量を再考した。なお、このデータはIAEAが主導する核融合炉から発生する廃棄物対策に関わるワークショップにおいて、各国が検討を進めている核融合炉を対象にした放射化物量の物量比較に寄与した。続いて、核融合炉の炉内機器の特性として、高い中性子損傷に曝される炉内機器は数年おきに交換が求められる。炉内機器の交換周期をベースにリサイクルの有効性を分析した結果、レアメタルである増殖・増倍材はリサイクルし、交換機器の中でも中性損傷量が小さい機器の再利用を考慮した場合、ワンススルーで全てを廃棄する場合に比べて7割程度削減できることが分かった。但し、交換周期を持つ炉内機器のトリチウムインベントリを正確に評価するためには、過渡解析によるトリチウム拡散計算を実施し、定常に至るまでの運転(照射)時間を把握する必要がでてきた。そこで、過渡解析を進めたがトリチウムが入射される位置での計算モデルのメッシュ幅(nm程度)が、他のメッシュ幅に比べて小さいことに起因して計算機の増強が必要と分かった。しかしながら、半導体不足から計算機の導入は間に合わず、本年度はメッシュ幅の感度解析までしか出来なかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
設計変更に伴う物量変化を同定し、放射化物の量を評価した。評価の過程で、放射化物の減容化のためにリサイクルと再利用が可能な機器や材料を特定した。さらに特定機器(材料)のリサイクルと再利用の減容化に向けた有効性を示すと共に課題点を整理した。 但し、炉内機器でのトリチウムインベントリを正確に把握するためには、運転期間での過渡解析を実施し、機器内でのトリチウムが飽和に至っているかを把握する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
核融合原型炉における交換機器を対象に過渡解析を実施し、飽和に至るまでの運転期間を明確にする。当該期間に基づき、炉内機器を交換する際に発生するホットセルでのトリチウムインベントリを把握する。ここで得られたインベントリ特性から建屋への拡散、及び廃棄体化の観点で課題点を抽出する。最後に核融合炉で発生する放射化物の特徴から社会受容性の高い核融合炉を分析し、設計要求を整理する。
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Causes of Carryover |
(次年度使用が生じた理由)国際会議がCOVID-19で延期され、想定していた国際会議への参加費、渡航費及び滞在費が次年度使用へ計上された。また、トリチウム拡散の過渡解析用計算機の導入を考えたが、半導体不足より導入が間に合わなかった。
(使用計画) 今年度はトリチウム拡散計算とデータ整理等のための計算機を整備するほか、研究打合せ、成果発表のための旅費、会議参加費、投稿料として使用する計画である。
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