2018 Fiscal Year Research-status Report
プラズマと接する液体界面における表面張力変化の計測と解明
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18K03596
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
白井 直機 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (80552281)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 大気圧プラズマ / 気液界面プラズマ / 表面張力 |
Outline of Annual Research Achievements |
プラズマ液体界面反応場において、これまで計測されたことがなかった物理パラメータである表面張力に着目して、プラズマによる影響を調査した。 音響ホーンを利用して液面に励起したキャピラリー波によって生じる回折レーザー光の干渉パターンを解析することにより非接触で表面張力を計測する方法を確立した。 音響ホーンを用いて周波数が200~600 Hzの振動を水面に与えることにより、水面を伝搬するキャピラリー波を励起し、キャピラリー波が存在する領域にHe-Neレーザー光を斜入射し、キャピラリー波によって生じる回折光の干渉パターンを撮影した。この干渉パターンから表面張力を導出した。 このときプラズマからラジカル類が液面に照射されることに起因する表面張力の変化を調べた。プラズマには空気中で2本の微細希ガス流を用いて大気圧直流グロー放電を水面付近に形成し、その空間アフターグローガスを水面と相互作用させ、相互作用する領域の表面張力を測定した。プラズマを照射しない通常の水において様々な周波数の音響振動を印加し、キャピラリー波の波長を算出したところ表面張力の値は理論値とよく一致したことから、水面に励起されているのがキャピラリー波であることが確認できた。さらにプラズマ照射の前後の時間帯における表面張力の時間変化を測定したところプラズマ照射前は表面張力の値は72.8 mN/m前後の値で時間変化しないが、照射後から徐々に増加し、8分が経過した時点で84.5 mN/mに達した。プラズマ照射を停止すると表面張力は急激に低下し、さらにプラズマ停止後20分程度が経過すると、水の表面張力はプラズマ照射前の水の表面張力近くの値に戻った。停止後の急激な低下は大気圧プラズマのアフターグローによって生成された短寿命ラジカルが水面に照射されることで、界面の分子の配向や結合が何らかの影響を受け、表面張力が変化したことが示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していた表面張力を非接触で測定するための系は完成した。 プラズマの有無で表面張力が変化することも実験的に確認でき、このメカニズムを次年度以降で解明していくことは当初の研究計画通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
プラズマの存在によって表面張力が変化することは実験的に明らかにしたので、今後はその原因を探るために時間的、空間的に表面張力がどのように変化するかを調査していく。時間的な変化は高速度カメラ等を利用した計測を行うことで、高い時間分解能での評価を行う。気相部のラジカルはレーザー誘起蛍光法等を利用して計測し、表面張力の変化との相関を見出すことで、プラズマによって表面張力を変化させるメカニズムを明らかにしていく。
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