2019 Fiscal Year Research-status Report
Creation of New-Generation Nanocarbons Using Plasma CVD
Project/Area Number |
18K03598
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
畠山 力三 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 名誉教授 (00108474)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
權 垠相 東北大学, 理学研究科, 准教授 (10360538)
美齊津 文典 東北大学, 理学研究科, 教授 (20219611)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | クローン・プラズマCVD / ナノカーボンハイブリッド / カーボンナノチューブ / グラフェン / 原子内包フラーレンン |
Outline of Annual Research Achievements |
[1]前年度新製作のクローン・プラズマCVD装置内に,本数のピークを与える長さが0.3μmで上限は1.8μm程度の長さ分布を有する短片分子としての高純度(金属触媒1.0 %以下)SWNT分散液が散布されたSi基板を設置した. [2](1)上記の種となる短片化SWNTに対して,(3.9-6.5)x103 Paのエタノール(C2H5OH)蒸気を発生し,電気炉温度900 ℃のアルコール熱CVD(AL-CVD)法を適用した.AFM解析によるSWNTの長さ分布においては,0.3μmピークは変わらないが,1.8μm以上が現れ上限は3μm程度に増大していた.(2)このAL-CVDを施す前に400 ℃で3分間の水注ぎ大気中アニール処理(WP)した後の熱CVD(AL-CVD/WP)の場合には,SWNT長さ分布の上限は3μmと変わらないがピークが0.9μmへと大きく変化した. [3](1)一方,(3.9-6.5)x103 Paのエタノール蒸気,1.3x103 PaのAr/H2(3%)混合雰囲気中でICP/CCP併用RF(80 W)放電を発生し,このプラズマを用いて900 ℃のCVD(AL-PECVD)を行った.その結果,本数ピークの長さが1.2μmへと増加すると共に,4μm以上の長いSWNTが出現した.(2)更に,WP後にプラズマCVD(AL-PECVD/WP)を実践すると,1-3μm範囲のSWNT本数が顕著に増加すると共に,上限が10μmまでにも達した. (3)ラマン解析によるカリラリティ同一性を確認中である. [4]以上の成果より, 金属触媒を使わないSWNTのクローン成長へのアルコールプラズマCVD(AL-PECVD)法の有効性が実証されつつあるが,更なる堅実な検証を目的として,欠陥性炭素環の除去と高反応性水素終端SP2炭素端の露出化を齎すH2ガスの積極的導入を図るべく安全性配管を完備した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
(1)上記「研究実績の概要」項[4]で述べたように, 一般にナノカーボンの成長・合成において水素の欠陥除去とSP2炭素端の露出作用は良く知られている事実であるので,この効果を本課題の「アルコールプラズマCVD(AL-PECVD)法による金属触媒を使わないSWNTのクローン成長」の決定的検証に活用することを当初から意図していた.ここにおいて今年度前半には,爆発危険性の無い水素割合が3 %と極めて少ないAr/H2ガスを使用することによって,SWNTのクローン成長の実証に肉薄する成果を得ることができた.この段階において,水素ガスの積極的多量導入はクローン成長の更なる堅実な検証には必須の課題となった.しかしながら,本学理学研究科化学系の現在使用実験室においては,周辺精密測定・解析装置群の関係で爆発危険性の水素ガスの使用は禁止されていた.そこで,その近隣の全く異なる周辺環境の実験室を探索し,前年度新製作のクローン・プラズマCVD装置を今年度半ば頃に移転せざるを得なかった. 以上の通り,装置移転先探索-装置解体-移動搬入-再組み上げ及び水素導入・排気用SUS配管完備と爆発安全性確認・確保の一連の作業に,数カ月を費やし当該実験を中断することとなったことに因る.
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Strategy for Future Research Activity |
(1)現在のAr/H2(3%)のAL-PECVD及びAL-PECVD/WP法において金属触媒を使用せずに成長しているSWNTのラマンスペクトル解析を早急に終了し,カイラリティの同一性・クローン成長を確認する. (2) AL-PECVD及びAL-PECVD/WP法に水素ガスを積極的に導入し(数百sccmまで),クローン成長の最適パラメータを見い出した後に,今年度よりも遥かに長く成長したSWNTのカイラリティの同一性・クローン成長を堅実に検証する. (3)これまで使用してきた短片化SWNTに加えて,高純度(>99.9 %)半導体SWNTを単層グラフェン上にそれぞれ一様に点在散布し,(2)と同様のSWNTのAL-PECVD及びAL-PECVD/WP成長実験及びAFM・SEM・TEM観測とラマンスペクトル解析を行う.その結果に基づいて,PECVD前後で同一のカイラリティを持ち遥かに長くなったSWNTがグラフェン平面に垂直方向に配向成長していることを確認し, “クローン成長同一カイラリティSWNT/グラフェン”ハイブリッド創製を実証する. (4)SWNTの極限に短い部分構造を持つカーボンナノベルトを単層グラフェン上に点在散布して,(3) 同様のクローン・プラズマCVD成長実験を行い, 「原型小分子からの」”クローン成長単一カイラリティSWNT/グラフェン”ハイブリッド創製を実証する. (5)アルコールプラズマCVDによるクローン成長実験に不具合が生じた場合も含めての比較実験の意味で, CH4/H2混合ガス放電プラズマCVD実験開始を常に意識しておく.
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Causes of Carryover |
本年度は爆発危険性の水素ガス導入に伴う新しい実験室への装置移転があり計画されていた実験が中断となったため、マスフローコントローラー等の必須物品の納入が本年度末の3月には間に合わなかった次第である.これらは次年度の4月に納入が決定されているので,順当にその使用計画を予定している. また、新型コロナウィルス感染拡大に伴い令和2年春の関連諸学会が中止となったため, 旅費も一部繰り越した次第であるが,次年度には最終年度成果発表を積極的に行う予定であるので,これに充当する使用計画である.
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Research Products
(13 results)
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[Journal Article] Time-of-Flight Mass Spectrometric Diagnostics for Ionized and Neutral Species in High Power Pulsed Magnetron Sputtering of Titanium2020
Author(s)
K. Tsukamoto, T. Tamura, H. Matsusaki, M. Tona, H. Yamamoto, Y. Nakagomi, H. Nishida, Y. Hirai, N. Nishimiya, M. Sanekata, K. Ohshimo, K. Koyasu, F. Misaizu
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Journal Title
Jpn. J. Appl. Phys.
Volume: 59
Pages: SHHB05-1-6
DOI
Peer Reviewed
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