2018 Fiscal Year Research-status Report
Decomposition of Sn debris of EUV light source for next-generation semiconductor lithography
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18K03600
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
内野 喜一郎 九州大学, 総合理工学研究院, 教授 (10160285)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | プラズマ / 水素 / EUV光源 / スズデブリ / 電子密度 / 電子温度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、EUV光源におけるスズデブリの水素による除去に関する研究の第1段階として、小型チャンバーで発生させたVHF水素プラズマでスズを分解して分解量を定量化する検討と、スズターゲットにYAGレーザーを照射してEUV光を発生させ、それによって水素ガスがどのようにプラズマ化するかを調査した。 VHFプラズマによるスズ分解実験では、まず試験のためのサンプルとして、15mm角で厚み0.6mmのシリコン基板に100 nm程度の厚みのスズの膜を形成したものを準備した。ガス圧依存性をまず見るため、20sccmのガス流量のもとで、ガス圧を15Pa、35Pa、70Pa、150Paと変化させた。プラズマ照射後のスズの残留量を、XRFで測定した。その結果、35Paでのスズ分解が最も早く、20分のプラズマ照射でほぼすべてのスズが分解除去された。他方、150Paでは、サンプル上の一部でスズの量が増加し、再堆積を示唆する現象が見られた。ガス流量を10sccmと半分にすると、35Paでも再堆積が現れた。すなわち、水素プラズマの密度を高くしてスズの水素化を早くしても、十分なガス流れがなければ、スズが再堆積して、スズ分解は進展しないことが確認された。 EUV光による水素のプラズマ化の実験では、YAGレーザー照射によるEUV光発生点から50mm離れた位置での、プラズマの密度・温度をレーザートムソン散乱法で測定した。EUV光のフラックスは、0.4mJ/cm^2程度と評価された。この条件下で、トムソン散乱信号を検出することに成功し、水素ガス圧100Paの条件においてEUV光発生開始後の時刻30ns 程度で電子密度は、最大値4×10^17 m^-3 となり、100ns 程度の時間プラズマが保持された。電子温度は、1 eV程度であったが、ミラーを模擬したシリコン板の前面では、5 eV程度の高温成分も検出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
スズの水素プラズマによる分解過程の基本的な部分を、実際にVHFプラズマで観測することに成功した。スズの残留量をXRFで測定したときの、測定誤差は±10%程度であった。初年度は、スズ残留量の定量化を可能としただけで、まだ測定は一部の条件下で行っただけであり、今後、広い条件化での測定が必要である。 EUV光による水素プラズマのトムソン散乱計測は、初年度にして成功したことは望外の成果であった。しかし、測定の再現性の確認や、幅広い条件下での測定が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
スズ分解測定をより広い条件下で実行していく。それをもとに、スズ分解過程のモデル化を行う。サンプルそのもののスズの量が必ずしも均一ではないことも、スズ分解能の定量化をはかる上で困難性の1つとなっている。これは、シリコン基板を購入する業者と、それにスズの製膜をする業者と十分に打合せて、出来るだけ均一なサンプルを入手できるようにする。また、VHFプラズマのパラメータの測定にも着手し、水素イオンのフラックスをパラメータとした実験を行う。 EUV光による水素プラズマの定量化も、幅広い条件下での測定を実行する。水素ガスの気相で、EUV光により直接解離や電離を受ける成分と、ミラーを模擬する材料の表面において、2次電子により電離する成分を分離して測定することも検討する。この場合、ミラーのキャップ材の材質の影響も調査する。 これらの2つの方向から、水素ガスによるミラー表面スズデブリの分解過程を定量化していく。
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