2019 Fiscal Year Research-status Report
Decomposition of Sn debris of EUV light source for next-generation semiconductor lithography
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18K03600
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
内野 喜一郎 九州大学, 総合理工学研究院, 教授 (10160285)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | EUV光源 / スズデブリ / プラズマ / 水素 / 電子密度 / 電子温度 |
Outline of Annual Research Achievements |
VHFプラズマによるスズ分解実験では、昨年度同様に試験のためのサンプルとして、15mm角のシリコン基板に100 nm程度の厚みのスズの膜を蒸着したものを準備した。このサンプルの購入先より、30枚単位で蒸着を行った時の膜厚の試験データが提供されたので、スズ分解実験の前後でXRF信号をとり、実験前の信号の平均値を試験データのスズ膜厚に相当すると決め、実験後のXRF信号の変化からスズ膜厚減少量を決定した。これにより、XRF測定器の感度の経時変化を排除し、再現性のあるデータが得られるようになった。水素プラズマ暴露によるスズ除去膜厚のガス圧依存性のデータを測定し直し、さらに、ガス流量依存性、基板温度依存性を調べた。プラズマパラメータのプローブ測定も実施し、本研究の条件下で代表的な電子密度は3×10^15 m^-3、電子温度は3eVであった。これまでの実験で最高のスズ除去が得られるのは、基板温度20℃、水素圧力35Pa、ガス流量20sccmの場合であった。そのときのエッチングレートは、4.8nm/minで、イオンフラックスをもとに見積もると、約10個のイオンで1個のスズ原子が除去されていることが明らかとなった。 EUV光による水素ガスの光電離過程の研究では、EUV光発生点からのプラズマ放射光を遮蔽することで、トムソン散乱計測のSN比を昨年度より改善できた。その結果、YAGレーザー照射後の早い時刻t=20 nsでの計測が可能となった。水素圧力200 Paにおいて、EUV光発生点から50mm離れた位置での電子温度は、t=100 nsでは0.3 eV程度、t=20 nsでは、バルクとしては2 eV程度だが、トムソン散乱のスペクトルには高エネルギーの成分も存在した。すなわち、EUV光による光電離プラズマの特性解明には、生成初期のエネルギー分布関数の測定が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
VHFプラズマによるスズ分解実験では、XRF信号の検定方法を確定することにより、スズ膜厚減少量の再現性のあるデータが得られるようになった。スズ膜厚減少量の基本的な実験条件依存性のデータを揃えることができ、大雑把なスズ除去過程を把握できた。さらに、水素イオンがスズ金属結合を切ることの重要性を認識でき、10~50eV程度の水素イオンエネルギーで効率的にスズの金属状態からSnH4という揮発性ガスへの変換が起こることを示すことができた。 EUV光による水素プラズマのトムソン散乱計測においては、昨年度から大幅にSN比を改善することができ、プラズマ生成初期のトムソン散乱スペクトルの測定が可能となった。そのことにより、EUV光による光電離プラズマの特性解明には、生成初期のエネルギー分布関数の詳しい測定が重要であることを認識できた。
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Strategy for Future Research Activity |
まず水素イオンによるスズのエッチングが10 eVという低いイオンエネルギーで実際に起こっていることを確認する必要がある。そのために、スズサンプルに負バイアスをかけて、そのバイアス電圧とエッチングレートの関係を調べる必要がある。また、スズのエッチングレートを大きくするには、イオンフラックスを大きくする必要があるので、より高いプラズマ密度が望ましい。そのようなプラズマを、本研究のVHS装置にホローカソードを導入し、ホローカソード放電で得ることを試みる。 EUV光による水素光電離プラズマの特性解明のため、プラズマ生成初期から100ns後位までの電子エネルギー分布関数の詳しい測定を実施する。これにより、電子密度と実効的な電子温度の時間変化を明らかとし、水素イオンのエネルギーとフラックスを定量化することで、EUV光電離プラズマのスズデブリ除去性能の評価を可能とする。
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Research Products
(2 results)