2020 Fiscal Year Research-status Report
Verification of Extended Gravity
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18K03615
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
野尻 伸一 名古屋大学, 理学研究科, 教授 (00432229)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 拡張重力理論 / 暗黒エネルギー / 宇宙の加速膨張 / インフレーション / 重力波 / ブラックホール |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き、アインシュタイン重力を拡張した様々な模型について、これらの模型が宇宙の加速膨張を引き起こす暗黒エネルギーや宇宙初期のインフレーションを説明する可能性と、これらの模型を観測的に検証する可能性について調べた。特に2020年度は高階微分を含む模型、非局所的な相互作用を持つ模型、また、ホログラフィック模型と呼ばれるものに対し、これらのものが現実に宇宙を記述する模型となりうるかについて検証を行った。その結果2020年度に学術雑誌から出版された論文は11編に上り、さらに2編の論文が投稿中である。 私は近年注目を持たれたアクシオンという粒子の場を含む拡張重力理論の模型や高階微分を含む理論や非局所的な相互作用を含む理論の模型などについて、前年度に引き続き重力波の伝搬を調べることでこれらの模型を検証できる可能性について調べた。 一方、アインシュタイン重力理論に現れるブラックホールを記述する解はいわゆる F(R) 重力理論の解にもなっているが、F(R) 重力理論の静的球対称解について系統的に調べ、F(R) 重力理論にのみ現れる解が無数に存在するとともにその解の熱力学的な性質を調べ、将来の観測によりこれらのF(R) 重力理論に特有な解が記述するブラックホールなどを発見することで拡張された重力を検証する可能性について調べた。 また、我々の観測する4次元の時空より高い次元では場の方程式等には寄与するが、4次元では全微分となり位相的な性質のみを持ち場の方程式等には寄与しない重力の模型について、結合定数を微調整しながら4次元に解析接続することによりブラックホール等の新しい解を見つけようとする研究が注目を集めている。私もその簡単な応用として時空の次元が2次元である重力理論について調べ、アインシュタイン重力では現れないブラックホールを記述する買いが現れることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度も、学術雑誌から出版された論文は11編に上り、さらに2編の論文が投稿中であるなど、順調に研究成果を上げているが、アインシュタイン重力を拡張した理論については新たな模型が現れ、これらの模型の検証をする必要が生じ、十分詰め切れていないと感じている。詰め切れていないもう一つの大きな理由の一つは COVID-19 禍の影響である。私の主な共同研究者はスペイン、イタリア、インド、また中国等の海外の研究所や大学で研究を行っているが、COVID-19 禍のため、私自身が彼らの研究所を訪れたり、彼らを日本に招いたりすることで、直接議論ができなかったのみならず、私の共同研究者の所属する研究所や大学が閉鎖されるなど研究上の障害が大きかった。また、COVID-19 禍の影響で私の研究に必要な様々な観測計画にも遅れが出ている。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は COVID-19 禍の影響で、海外にいる私の共同研究者と直接議論ができなかったことにより予想を上回るような成果を上げるのは難しかった。2021年度も COVID-19 禍の影響が続くと考えられるが、ワクチン接種の普及等により海外の情勢は好転し始めており、海外の研究所や大学が閉鎖が徐々にではあるが解かれ始めている。また、2020年度中に私の所属する大学や研究所の設備が大きく整備され、オンラインでの議論や研究会の開催が容易になった。私は以前より電子メール等を使って議論を進めてきたが、これらの整備された設備を利用し海外の研究者とオンラインでの議論や小研究集会を開き、研究を詰めていく。また、世界的に状況が改善すれば、私も海外の研究所や大学を訪れるなどすることで直接の議論を行いたい。これらにより、これまで研究をしてきた拡張重力理論の分類やその性質の際などについてまとめ、将来の観測によって検証する手段を確立したい。
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Causes of Carryover |
私の主な研究者はスペイン、イタリア、インド、また中国等の海外の研究所や大学で研究を行っているが、COVID-19 禍のため、私自身が彼らの研究所を訪れたり、彼らを日本に招いたりすることで、直接議論ができなかったのみならず、私の共同研究者の所属する研究所や大学が閉鎖されるなど研究上の障害が大きかった。また、COVID-19 禍の影響で私の研究に必要な様々な観測計画にも遅れが出ている。このため2021年度も研究を継続し研究を完成に近づけたい。2021年度も COVID-19 禍の影響が続くと考えられるが、ワクチン接種の普及等により海外の情勢は好転し始めており、海外の研究所や大学が閉鎖が徐々にではあるが解かれ始めている。また、2020年度中に私の所属する大学や研究所の設備が大きく整備され、オンラインでの議論や研究会の開催が容易になった。私は以前より電子メール等を使って議論を進めてきたが、これらの整備された設備を利用し海外の研究者とオンラインでの議論や小研究集会を開き、研究を詰めていく。また、世界的に状況が改善すれば、私も海外の研究所や大学を訪れるなどすることで直接の議論を行い研究の完成を目指す。
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