2019 Fiscal Year Research-status Report
トポロジカル相転移に基づくクォークの閉じ込め・ 非閉じ込め相転移の研究
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18K03618
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Research Institution | Fukuoka Institute of Technology |
Principal Investigator |
柏 浩司 福岡工業大学, 情報工学部, 助教 (50612123)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土居 孝寛 国立研究開発法人理化学研究所, 仁科加速器科学研究センター, 基礎科学特別研究員 (50804910)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 閉じ込め・非閉じ込め相転移 / 有限密度量子色力学 |
Outline of Annual Research Achievements |
閉じ込め・非閉じ込め相転移をトポロジカルな観点から解明するための研究を推進した。まず、Uhlmann位相に着目した研究の途中結果については第125回日本物理学会九州支部例会において口頭発表を行った。具体的には、SU(2)ゲージ理論を考え、物性系との理論的構造の類似性を利用して研究を進めた。格子理論を持ちいた数値計算も現在進めているところである。 また、トポロジカルな構造と密接な関係を持つと期待される虚数科学ポテンシャル領域については、日本物理学会第75回年次大会において発表予定であったが、現地開催中止のため実際の口頭発表は行えなかった。ただし、概要の提出を含む条件を満たしているため発表は成立している。この研究は論文として本年度に出版され、具体的にはPolyakov-loop paradoxというカノニカル法に存在する問題を完全に解決したものである。解決に当たっては、虚数化学ポテンシャル領域に存在する特殊な周期性が重要な役割を果たした。 更に、閉じ込め・非閉じ込め相転移を調べていくために重要となる実数の化学ポテンシャル領域での研究も推進した。具体的には経路最適化法という、積分経路を複素化して実数化学ポテンシャル領域に存在する符号問題を緩和する手法の研究を進めた。この研究の進展も本年度の論文としてまとまっている。また、関係する研究としてホログラフィー原理に元ずく模型での実数化学ポテンシャル領域の研究も遂行した。具体的にはカラー超電導に着目して相構造を調べた。本領域は閉じ込め・非閉じ込め相転移との関係で興味深い相である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
閉じ込め・非閉じ込め相転移のトポロジカルな性質を調べるための数値計算まで進展しており、また化学ポテンシャルに関する研究にも十分な進展があったため。具体的には、研究に関係する査読付き論文6本が本年度に出版された。
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Strategy for Future Research Activity |
現在進行中の幸地ゲージ理論による数値計算を完了させる。特に、モノポール密度に関する量の計算をいくつかのゲージ固定の下に完了する。すでに基本的な計算アルゴリズムは出来上がっているため、実際の計算を計算機にて行う段階である。また、実数科学ポテンシャル領域での研究を可能とするための経路最適化法の研究を更に進展させる。特に、複素化学ポテンシャル領域への適応を目指す。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスによる研究会への出張自粛や分担者の次年度からの所属の移動などで旅費が想定よりも減少し、残額が発生した。出張が可能になり次第、研究打ち合わせなどに用いる。
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Research Products
(12 results)