2023 Fiscal Year Annual Research Report
Fundamental aspects of new physics search in precision spectroscopy
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18K03621
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田中 実 大阪大学, 大学院理学研究科, 助教 (70273729)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉山 和彦 京都大学, 工学研究科, 准教授 (10335193)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 同位体シフト / キングの線形性 / イッテルビウム / 質量のないダークフォトン |
Outline of Annual Research Achievements |
湯川ポテンシャルによる力の到達距離は粒子の質量に反比例し、これが原子の典型的な大きさ(ボーア半径)程度以上になるのは、質量が数keV以下のときである。この様な力は原子のスペクトルに影響を及ぼすことが期待される。 本研究では、素粒子の標準模型を越える新物理として、中性子と電子に結合するスカラーまたはベクトル型の新粒子を想定し、中性子・電子間の湯川ポテンシャルによる原子あるいはイオンのスペクトルの同位体シフト(isotope shift,IS)への影響を考え、ISの精密測定による新物理探索を行った。 中心となるアイデアは、2種類の遷移のISの間の「キングの線形性」とその破れである。原子核の有限サイズ効果によるIS(field shift,FS)が、質量数に依存する因子と遷移に依存する因子の積で書ける場合に、線形性が成り立つ。新粒子によるISが加わると、これが成立しなくなり線形性が破れる。2種類の遷移について3つ以上の同位体ペアでISを測定して、線形性の破れを検出することで、新物理の情報を得ることができる。これを拡張した3種類以上の遷移を用いて標準模型の高次効果による非線形性を消去し新物理への感度を高める一般化線形性を、代表者らが提案している。 イッテルビウム(Yb)イオンにおけ3つの遷移と中性Yb原子の2つの遷移を組み合わせ、最新のIS実験データを用いて一般化線形性解析による新物理探索を行い、観測されている非線形性の原因となるFSを同定する方法を考案した。 また、関連する研究として質量を持たないダークフォトンに関する研究を行い、既存のミュー粒子崩壊実験データの再解析、および新しいB中間子実験データの解析からこれまでよりも強い制限を得た。
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Research Products
(6 results)