2019 Fiscal Year Research-status Report
Study of multistrange baryons via three-body decays of charmed baryons
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18K03632
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鎌野 寛之 大阪大学, 核物理研究センター, 技術専門職員 (00625361)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ハドロン分光 / マルチストレンジバリオン / 部分波解析 / 三体崩壊 |
Outline of Annual Research Achievements |
相対論的重イオン衝突や初期宇宙におけるクォークのハドロン化の物理と関連して、マルチストレンジバリオン共鳴の存在および質量スペクトルの確立が重要な課題のひとつとなっている。本研究では、チャームバリオンの非レプトン三体弱崩壊に対する微視的反応模型を開発し、崩壊の二体部分系で生成されるマルチストレンジバリオン共鳴のスピン-バリティや質量スペクトルの精密決定を実現する新たな手法を提案する。さらに、本研究で提案する手法を用い、以下の課題の達成を目指す: (1)ラムダチャームバリオン(Λc)非レプトン三体崩壊の現存するデータに対して包括的な部分波解析を実行し、この崩壊でアクセスが可能な1.7GeV以下の質量をもつグザイ(Ξ)バリオン共鳴の存在、質量スペクトル、崩壊幅、スピン-パリティを決定する。質量スペクトルや崩壊幅は、散乱振幅の複素エネルギー平面上でユニークに定義されたモデル非依存の値を抽出する。 (2)従来の研究で無視されてきた三体終状態相互作用が、三体崩壊の解析で得られるマルチストレンジバリオン共鳴の質量や崩壊幅の値に与える影響を明らかにし、従来の研究の妥当性・信頼性を検証する。 (3)ΞcやΩcの三体崩壊を通じてΞやΩバリオン共鳴の情報を抽出するのに最適な観測量、運動学的領域を精査し、BelleIIやBESIIIなどの衝突型加速器を通じて測定が可能な新しい崩壊実験の提案を行う。 当該年度は、共同研究者らとの議論を通じ、前年度に判明した三体弱崩壊の微視的反応模型の構築において当初予期していなかった問題の解決を中心に研究を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
想定外に生じた他業務により、研究時間を十分に確保することができなかった。また、前年度に判明した当初予期していなかった問題点の解決に時間がかかったが、アプローチを一部単純化するなどの対処を施すことにより、反応模型の構築は最終段階に差し掛かっている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在取り組んでいる反応模型構築の最終段階を完遂させることに並行し、コード開発も進めることにより、具体的な数値結果を含めた成果をまとめ上げ、その発表を目指す。
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Causes of Carryover |
研究進度の遅れの為、成果発表の為の旅費等の使用がそれに応じて遅れている。着手し始めたコード開発にともない適宜必要になるソフトウェアやIT機器、成果がある程度出た際の発表用旅費や論文投稿費用に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)