2022 Fiscal Year Research-status Report
超弦の場の理論を用いた超弦理論のダイナミクスの研究
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18K03637
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
石橋 延幸 筑波大学, 数理物質系, 教授 (70211729)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 弦理論 / 弦の場の理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
弦理論の世界面は、数学でリーマン面と呼ばれる面で記述できる。弦理論で現れるリーマン面には、曲率が負で一定になる計量を入れることができる。この計量の入った面は、パンツと呼ばれる基本構造に分解できることが知られている。つまり、弦理論に現れる世界面はパンツと呼ばれる基本構造に分解することができるということになる。この分解のことをパンツ分解と呼ぶ。 弦理論を第二量子化した理論である弦の場の理論を作るためには、弦の世界面をプロパゲータとバーテックスに分解するルールが必要になる。上記のパンツ分解は、このようなルールとして使えるのではないかと予想できる。ところが、パンツ分解をもとに弦の場の理論の作用を作ろうとしてもうまくいかないことが、30年以上前から知られていた。 本研究では、弦の場の理論の作用を直接作るのではなく、フォッカー・プランク形式と呼ばれる定式化を用いればパンツ分解をもとに閉ボゾン弦の場の理論を構築できることを示した。 具体的には、数学で知られているMirzakhaniのrecursion relationを一般化して、閉ボゾン弦の振幅の間に成り立つ関係式を求めた。この関係式は、フォッカー・プランク形式を用いて弦の場の理論の形にまとめることができる。ただし、このようにしてできる弦の場の理論は世界面上のBRST不変性が明白ではない。そこで、補助場を導入することでこの不変性を明白にした。 フォッカー・プランク形式の弦の場の理論は単純な3点相互作用しか含んでおらず、非常に扱いやすい。この理論を超弦理論の場合に拡張することは将来の問題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
パンツ分解をもとに弦の場の理論を作るというのは、ここ2年ほど模索していた方向であり、形になったことは大きな前進である。
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Strategy for Future Research Activity |
フォッカー・プランク形式の弦の場の理論を、閉じた超弦の場合に拡張する。Type 0と呼ばれる超弦理論の場合への拡張については研究が進んでいる。Type II, heterotic理論の場合は、世界面上の超対称性がchiralなので、新しいアイデアが必要になる。今後はこの点について研究進める予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため、国際会議等がオンラインになることが増え、旅費支出が非常に減ってしまった。今年度から様々な規制が緩和されるため、出張を増やすことを計画している。
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