2020 Fiscal Year Research-status Report
Study of Argyles-Douglas theory based on quantum integrability
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18K03643
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
伊藤 克司 東京工業大学, 理学院, 教授 (60221769)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 超対称性 / 可積分模型 / ODE/IM対応 / Argyres-Douglas理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
4次元の超共形場理論であるArgyres-Douglas(AD)理論は, 非局所的な理論であり, ラグランジアンに基づいた議論ができないため, これまでにない新しい解析手 法が必要となる. 本研究では, 量子Seiberg-Witten(SW)曲線と2次元量子可積分模型の対応(ODE/IM対応)に基づき, Argyres-Douglas理論を特徴付ける量子周期に 対する非摂動効果の研究を行っている. これまでの研究により(A1, AN)型のAD理論の量子SW曲線である, 多項式型のシュレーディンガー方程式の厳密WKB解析と 量子可積分模型における熱力学的ベーテ方程式との対応が明らかにし, 量子周期と可積分模型の関連を定量的に検証することを可能にした。また前年度の研究においてゲージ群Gを持つN=2超対称ゲージ理論及びN=2 SU(N)超対称QCDのスケール極限で得られるAD理論の量子SW曲線とその量子周期の計算法を確立した。今年度は一般のLie群Gに対し(A1,G)型のAD理論の量子SW曲線をアフィン戸田方程式に付随する線型方程式と考え、ODE/IM対応を用いてその線形方程式がどのような量子可積分系と対応するかを詳しく研究した。線型方程式の漸近解間の解の接続係数の満たす関数関係式により量子可積分模型におけるBaxterのT-Q関係式及びQ関数の満たす非線形積分方程式を導き、数値的手法も用いてODEと量子可積分系の対応を検証した。特にnon simply-laced型や例外型のアフィン Lie代数に対してODE/IM対応を具体的に示したのは初めての結果である。これにより(A1,G)型AD理論に対応する2次元量子可積分系をODE/IM対応により決定することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Argyres-Douglas理論と呼ばれる非局所的な理論に対する量子Seiberg-Witten曲線とそのWKB解析の手法は順調に整備されており,量子周期のいくつか高次補正が具体的に計算されたことは大きな成果である。 特に基本的な超対称ゲージ理論のスケール極限として得られるAD理論に関しては大きく理解が進んでおり, ODE/IM対応を用いて, (A1,G)型の量子SW曲線に付随する量子可積分系を決定できたことは大きな成果と考える。さらに一般のaffineリー代数に対する線形問題に対してODE/IM対応を確立したことは今後のAD理論の量子SW曲線による研究への大きな進展をもたらした。
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Strategy for Future Research Activity |
一般のリー代数Gに対し(A1,G)型のAD理論の量子SW曲線であるアフィン戸田方程式に付随する線型方程式に対し, ODE/IM対応を用いてその線形方程式と対応する量子可積分系がわかった。しかし量子SW曲線から求められる量子周期とその可積分系における役割はまだ理解が進んでいない。Ito-Shu"ODE/IM correspondence and the Argyres-Douglas theory" JHEP1708(2017)071の論文において, 量子周期と量子可積分系におけるY関数の関係が提案されており, その関係の一般のAD理論への拡張を考えることにより一般の(A1,G)型のAD理論の可積分構造を量子周期に基づき詳しく調べていく。
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Causes of Carryover |
今年度の出張計画がコロナの影響で取りやめになったことが大きく, 研究連絡、研究発表もzoomで行うことができた。 しかし対面での議論に比べ進展が捗ることはなかった。また数値計算は現有の計算機を限界まで使用することにより実行することができた。しかし目標となる例外型リー代数の場合の計算の実現のためにはより高い性能を持つ計算が必要となることがわかった。このため新しい計算機の導入とコロナ後の延期された出張計画を実行することを予定している。
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Research Products
(3 results)